地域が自らデザインする地域の交通
人口減少の本格化や運転者不足の深刻化で地域公共交通の経営環境が悪化し、路線廃止などが相次いでいる状況を踏まえ、原則、全ての地方公共団体が、まちづくりと連携しつつ、従来の公共交通に加え、地域の多様な輸送資源も位置付ける「地域公共交通計画」を作成することになった(図25)。
既存の公共交通サービスの改善の徹底
乗合バスなどについては、2020年5月に成立した「地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律」により、一定の場合に独占禁止法の規定が適用除外となり、複数の乗合バス事業者などによる共同経営(運賃・料金、路線、運行回数の調整)が可能となった。
また、同じく2020年5月に成立した「持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(以下、改正活性化再生法)」においても、地方公共団体の関与の下、きめ細かなサービス向上を促進する制度(地域公共交通利便増進事業)を創設し、バス事業者が「等間隔運行」「定額制乗り放題運賃」などに取り組む場合、各事業法における届け出がなされたことと見なすといった手続きの円滑化を図ることとしている(図26、図27)。
タクシーについては、一括定額運賃について2020年3月にルール化を図った。また、配車アプリを活用してタクシーの運賃を乗車前に確定させるサービス(事前確定運賃)については、2019年10月より運用が開始している。さらに2020年3月には、1台の車両に複数の旅客が乗車して運賃を「割り勘」できる「タクシーの相乗り」のルール化を図ったほか、地方公共団体の発意により、地域公共交通会議においてタクシーの営業区域の見直しが協議できることを明確化した。
その他、自家用有償旅客運送の実施円滑化や、介護サービスとの連携・貨客混載、車両小型化、頻度見直しなどによる地域の実情に合わせた運営、運行形態見直しによる効率的なサービス提供など、輸送資源の総動員による移動手段の確保も行われている(図28、図29)。
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