東京都立大学は、特定の蒸気を感知して可逆的に変形、変色する特性を持つ新材料を開発した。フェニル基を付加した環状チオフェン6量体が、分子間の相互作用によって規則的に集合してできた繊維状物質(ファイバー)となる。
東京都立大学は2020年10月15日、特定の蒸気を感知して可逆的に変形、変色する特性を持つ新材料を開発したと発表した。フェニル基を付加した環状チオフェン6量体が、分子間の相互作用によって規則的に集合してできた繊維状物質(ファイバー)となる。北里大学、横浜国立大学、名古屋市立大学との共同研究による成果だ。
環状チオフェン6量体分子が積み重なった構造をしており、分子内や分子間の隙間にアセトンなどの小さな分子を取り込める。アセトン分子を取り込んだファイバーは黄色だが、乾燥するとアセトン分子を放出してだいだい色に変色するとともに湾曲する。アセトン蒸気に再び触れさせると、アセトン分子を吸収して色と形は元に戻る。
長さ1mm程度のファイバーがアセトン蒸気の有無で可逆的に湾曲することで、ファイバーの先端位置は0.1mm程度上下運動する。蒸気刺激前後のファイバー内部の構造をX線回析したところ、蒸気刺激により分子配列が可逆的に変化し、湾曲が生じることが明らかとなった。
光や熱、蒸気などの外部刺激により自ら可逆的に変形、運動するスマートマテリアルは、人工筋肉や生物模倣技術などへの応用に期待されている。また、蒸気は電源や熱源を必要としない省エネルギーな外部刺激として注目されており、今回開発したファイバーは、新しい原理のアクチュエーターなどへの応用が期待される。
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