先に述べたように、構造解析3要因(構造、拘束、荷重)の中で、荷重が一番分かりにくい存在です。固定は目で見える場合がありますが、力は見えません。
機械内部にある部品同士の荷重のかかり方であれば、ある程度想定できます。部品にどんな荷重がかかるか分からなければ、部品の設計はできないので当たり前です。
問題なのは“人の介在”です。機械と人のインタフェース部分です。人がどのように機械と接するかは想定できません。もちろん、ある程度の想定はしますが、設計者が思いもよらない荷重をかける場合があります。
イスにかかる荷重を見てみましょう(図6)。
イスに座っている場合は、座面の圧力分布があります。一方、イスに立っている場合は、足裏の圧力分布があります。イスに座っている場合と立っている場合では、イスの挙動は明らかに異なります。よって、イスに発生する応力も異なることになります。
CAE初心者の場合、座面全体のサーフェスをクリックして、そこに、例えば体重などの荷重をかけることがあります。これだとイスに座っていようが、立っていようが“イスの応力状態は同じ”ということになってしまいます。これは非常に粒度の粗い荷重の設定です。
荷重を正確に設定するには、次の3つの項目に注意して荷重を設定します。
このように荷重は面積、分布、方向を持つわけですが、これを正確に設定しようとするとかなり手間がかかります。荷重面のサーフェスを作成し、それを基に、構造に荷重をかけるマクロなどを作成して運用することが現実的です。 (次回に続く)
これまでサラリーマン生活を約40年、続けてきました。そのうち十数年は「手書き」でした。技術者だったので、作成する文書は報告書など技術系のものがほとんどでした。手書きだったので、定規やコンパスを駆使して図表を描いていました。
その文書作成は、今も続いています。PCの登場によって文書や図表の作成が飛躍的にラクになりました。手書きのころに比べると、数百分の1の時間で数百倍キレイな文書が作成できるようになりました。
ずいぶん前になりますが、どこかのメーカーのワープロか何かのキャッチコピーで「美文書は説得力」というものがありました。筆者の座右の銘の1つです。「内容が良ければ、体裁など関係ない」という意見もありますが、内容が良いなら、それをより良くすることが美文書化です。これまで数千ページの報告書やプレゼン資料を作ってきましたが、美文書であることを常に心掛けています。「資料を読んでみよう」「見てみよう」の入り口は美文書であることだと思います。
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