新型コロナからの回復は一進一退、日系乗用車8社の生産実績自動車メーカー生産動向(1/2 ページ)

日系乗用車メーカー8社の2020年8月のグローバル生産実績は、6社が7月より減少幅を改善した。スズキとSUBARU(スバル)の2社が前年比でプラスとなるなど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の影響から着々と回復していることが分かる。ただ、北米や中国では増加幅が減少するなど、急速に進んでいた回復に多少の一服感がみられる結果となった。

» 2020年10月08日 06時00分 公開
[MONOist]

 日系乗用車メーカー8社の2020年8月のグローバル生産実績は、6社が7月より減少幅を改善した。スズキとSUBARU(スバル)の2社が前年比でプラスとなるなど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響から着々と回復していることが分かる。ただ、北米や中国では増加幅が減少するなど、急速に進んでいた回復に多少の一服感がみられる結果となった。依然として世界的にCOVID-19の広がりは落ち着いておらず、今後の自動車生産も一進一退の回復が続いていくものと予測される。

 8社のうち、国内生産が7月より改善したのはトヨタ自動車、日産自動車、マツダ、三菱自動車の4社。海外生産はトヨタ、ホンダ、日産の大手3社を除く5社が7月から改善した。世界各国に先駆けて市場回復が進んだ中国や、2020年6月以降生産を再開していた北米が伸び悩んだ。ただ、日産やスバルなどの増減は新型車への切り替えタイミングも一因となっている。東南アジアのウエートが高いダイハツ工業と三菱自は、依然としてマイナス幅は大きいものの、7月に比べると回復傾向が見られた。

2020年8月の各社の生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 202,691 431,526 177,615 119,711 634,217
▲ 11.5 ▲ 4.3 0.8 15.0 ▲ 6.7
ホンダ 42,549 346,932 155,335 141,331 389,481
▲ 35.2 ▲ 1.0 ▲ 1.0 18.5 ▲ 6.4
日産 31,667 273,072 96,600 120,123 304,739
▲ 47.1 ▲ 21.2 ▲ 27.6 ▲ 10.6 ▲ 25.1
スズキ 70,732 139,060 - - 209,792
8.5 ▲ 2.0 - - 1.3
ダイハツ 66,053 39,351 - - 105,404
▲ 1.5 ▲ 41.7 - - ▲ 21.7
マツダ 60,712 38,600 14,467 19,776 99,312
▲ 19.3 ▲ 9.8 57.5 ▲ 1.3 ▲ 15.9
スバル 42,069 37,838 37,838 - 79,907
▲ 5.5 81.5 81.5 - 22.2
三菱自 19,115 26,762 - 5,967 45,877
▲ 51.6 ▲ 54.5 - ▲ 28.9 ▲ 53.3
合計 535,588 1,333,141 481,855 406,908 1,868,729
※上段は台数、下段は前年比。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

トヨタは減少幅が着実に改善

 メーカー別に見ると、トヨタの8月のグローバル生産台数は、前年同月比6.7%減の63万4217台と8カ月連続の前年割れだった。減少幅は7月より3.5ポイント改善した。国内生産は同11.5%減の20万2691台で11カ月連続のマイナス。ただ、「ハリアー」「ヤリス」といった新型車が好調な国内販売や、米国や欧州、中国への輸出などが着実に回復しており、減少幅は7月比で10.5ポイント改善した。

 一方、海外生産は同4.3%減の43万1526台と8カ月連続のマイナスで、減少幅も7月から2.6ポイント悪化した。ただ、減少幅自体は7月に続き1桁台を維持した。地域別では、北米が同0.8%増と2カ月連続のプラス。米国市場の回復が続いており「カムリ」や「ハイランダー」などを増産。メキシコは前年割れとなった。中南米は市場が回復傾向にあることや、ブラジルが前年の「カローラ」のモデル切り替えに対する反動増などもあり同5.3%増とプラスに転じた。

 欧州はフランスで「ヤリス」を新型に切り替えたことによる大幅減が発生したものの、欧州トータルでは同4.8%増と6カ月ぶりに増加に転じた。アジアの生産台数は、東南アジアのタイやフィリピン、インドなどで回復が進んだが、インドネシアや台湾はマイナス幅が拡大している。中国は「レビン」の販売好調などにより同15.0%増と5カ月連続のプラス。ただ、増加幅は7月より16.3ポイント低下するなど一服感もみられる。その結果、アジアトータルでは同10.7%減と減少幅が7月比で7.5ポイント悪化した。

ホンダと日産は回復が鈍化

 回復傾向の鈍化が目立ったのがホンダだ。8月のグローバル生産台数は同6.4%減の38万9481台と13カ月連続で減少し、マイナス幅は7月から5.0ポイント悪化した。ただ、前年比のマイナスは一桁台を維持している。国内生産は、同35.2%減の4万2549台で12カ月連続の減少。マイナス幅も7月より8.2ポイント悪化した。輸出は5カ月ぶりにプラスに転じたものの、国内販売が登録車、軽自動車ともに前年割れが続いている。

 7月に過去最高を記録した海外生産も、同1.0%減の34万6932台と2カ月ぶりにマイナスへ転じた。地域別では、国別で最多となる中国は好調が続いており、同18.5%増と3カ月連続で増加するとともに8月の過去最高を更新した。その結果、回復が遅れている東南アジアなどの落ち込みをカバーし、アジアトータルでも同0.9%増と7月に続きプラスを確保した。ただ、中国に並ぶ主力市場の北米は販売が振るわず、北米生産も同1.0%減と2カ月ぶりのマイナス。欧州も依然として厳しく同28.6%減だった。

 日産も回復が停滞した。8月のグローバル生産は、同25.1%減の30万4739台と11カ月連続で減少し、減少幅も7月より6.2ポイント悪化した。低迷が続く国内生産は、国内販売や輸出のマイナスが続いており、同47.1%減の3万1667台と19カ月連続の減少だったものの、減少幅は7月より11.8ポイント改善している。

 一方で海外は、同21.2%減の27万3072台と7月比で12.1ポイント悪化。好調が続いていた中国が稼働日の減少で同10.6%減と4カ月ぶりに減少した他、北米が同27.6%減と7月のプラスから大幅なマイナスへと転じた。中でも米国は同45.3%減と半減近い落ち込みを見せた。これについて日産は、米国で「ローグ」を新型へ切り替えたことが大幅減の要因と説明している。

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