今回の組織改革は、豊田氏が自工会の会長を2期連続で務めることが背景にある。これまで自工会の会長は1期2年で交代することもあり、組織体制の変更になかなか踏み込めなかった。しかし、豊田氏は1期目で感じていた自工会の組織的課題の解決や、100年に一度といわれる自動車業界の大変革への対応に向けて組織改革を進めることとした。
豊田氏は「自工会はとても硬直した組織になっていた。例えば、『組織の構成』を取っても、50年間、全然、変わっていない。これでは、自動車産業の未来に向けて、業界全体の“軸”の役割を果たしていくことは難しいのではないか。4年の任期をいただいた私だからこそ何かできるのはないかと考え、自工会が本当に頼れる業界団体に生まれ変わるための具体的な提案をして、理事会で賛同してもらった」と語る。
自工会は、「自動車製造工業の健全な発展を図ること」を目的として1948年に発足したが、その後の排ガス規制や貿易摩擦など、各社単独では対応できない課題に対して“オールジャパン”で立ち向かう軸になってきた経緯がある。「100年に一度の変革を迎えた今、自動車産業は再びオールジャパンで結束しなければならない。そこで自工会が軸となれるよう、“頼られる自工会”に変わっていきたい」(豊田氏)という。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により大幅に需要が落ち込んだ自動車市場は徐々に回復に向かっている。豊田氏は「クルマやバイクが“安心な移動手段”として見直されるようになったことも後押しとなり、2020年5月に前年比55%まで落ち込んだ販売も、同年7〜8月には前年比80%台まで回復した」と述べる。足元の2020年9月についても、前年比90%程度まで回復が進む見込みだ
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