極暗所での画像認識および物体検知に向けた深層学習の手法を開発人工知能ニュース

ソシオネクストは、極暗所での画像認識と物体検知に向けた新しい深層学習の手法を開発した。既存のデータセットのみを用いて、極暗所で撮影したRAW画像を検出することが可能となった。

» 2020年09月10日 08時00分 公開
[MONOist]

 ソシオネクストは2020年8月21日、大阪大学データビリティフロンティア機構 教授の長原氏の研究グループと共同で、極暗所での画像認識と物体検知に向けた新しい深層学習(ディープラーニング)の手法を開発したと発表した。

 暗所での画像認識には、イメージセンサーのRAW画像を用いた深層学習「Learning to See in the Dark」がある。この手法は、学習に20万枚以上の画像と150万個以上の物体のラベルによるデータセットが追加で必要となるため、実用化が困難だった。

 今回の研究では、既存のデータセットのみで画像認識モデルを構築するドメイン適応手法を開発。既存のデータセットによる推論モデルの構築、転移学習による推論モデルの知識抽出、Glue layerによるモデルの融合、知識の蒸留による学習用生成モデルの構築により、希望の画像認識モデルの学習を可能にした。

キャプション ドメイン適応手法(クリックで拡大) 出典:ソシオネクスト

 また、極暗所で撮影したRAW画像に同手法を用いて、物体検出モデル「YOLO in the Dark」を構築した。YOLO(You Only Look Once)は、深層学習による一般物体検出手法の1つ。既存のYOLOモデルによる画像の明度補正では検出できない場合でも、YOLO in the Darkではデータセットを追加することなく正常に検出できた。従来モデルと比較して、認識処理に必要な処理量が約半分になっている。

キャプション 「YOLO in the Dark」の効果(クリックで拡大) 出典:ソシオネクスト

 同社は今後、新しい画像処理SoCの自社のISPへの組み込みやそれを中心としたカメラシステムの開発を進め、車載やセキュリティ、産業用途など画像認識を必要とする分野への提供を図る。

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