Cortex-R シリーズの内、2016年9月発表のCortex-R52は、ベースアーキテクチャとして「ARMv8-R」を採用している。一方、Cortex-R82は、ARMv8-Rではなく、64ビット対応やMMU、NEONの搭載を可能とする新開発のアーキテクチャ「ARMv8-R-64」を用いている。ただし、MMUとNEONはオプション機能であり、標準機能となっているCortex-Aシリーズと位置付けは異なっている。例えば4つのプロセッサコアを搭載する場合、2つはMMUとNEONを搭載してLinuxなどを利用できるようにし、残る2つはMMUとNEONを搭載せずに従来と同じリアルタイム処理に用いるといった構成が可能になる。
とはいえ、Cotex-Aシリーズのうち「Cortex-A55/76/77/78」などに採用されているアーキテクチャ「ARMv8.2-A」から、セキュリティ機能に当たる「TrustZone」と「Secure EL(Exception Level)3」を除くとARMv8-R-64になるとのことで、Cortex-R82は“ほぼCortex-A”といっていいだろう。
中島氏は「これまでCortex-Rシリーズのような組み込み機器向けリアルタイムプロセッサは業界内で閉じたものだったが、Cortex-R82の登場で開かれたものになっていく可能性がある。コンピュテーショナルストレージという用途は一例にすぎず、日本の製造業が得意とするさまざまなリアルタイムアプリケーションをさらに進化させる形で活用してもらえるのではないか」と述べている。
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