プロセス製造業のデジタルツイン化実現へ、AVEVAがOSIsoftを約5000億円で買収製造マネジメントニュース

プラント用CADなどの産業用ソフトウェアを展開するAVEVAは2020年8月25日、産業用IoTデータ活用基盤などを展開するOSIsoftを買収することで合意したと発表した。

» 2020年08月26日 06時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 プロセス製造業向けの一元的デジタル基盤構築へ――。プラント用CADなどの産業用ソフトウェアを手掛けるAVEVAは2020年8月25日、産業用IoTデータ活用基盤などを展開するOSIsoftを買収することで合意したと発表した。買収額は50億ドル(約5323億円)だという。

産業用ソフトウェアと産業用IoT基盤が統合へ

 AVEVAは1967年に英国で創業したソフトウェアベンダーである。主にプラントや造船など大型設備向けCADソフトの提供を、グローバルで展開してきた。2017年にフランスのSchneider Electric(シュナイダーエレクトリック)に買収されたが逆にAVEVA側にシュナイダーエレクトリックの持つ産業用ソフトウェア群を集約し、プラントやプロセス製造業において、設計から調達、建設、運転の最適化、メンテナンスから改善まで、一連のライフサイクルをカバーするポートフォリオを構築している。

 一方、OSIsoftは大規模プラントなどのリアルタイムの産業用IoTデータを集約し可視化するIoTデータ基盤として高い評価を持つ「PI System」を展開しており、多くのシェアを獲得している。既にOSIsoftは、世界有数の電力事業会社1000社以上に採用実績があり、さらに石油・ガス会社、金属・鉱業会社、化学・石油化学会社、製薬会社においてもグローバル上位企業の多くで採用されているという。

 今回の買収により、AVEVAの持つ設計から調達、建設、運転の最適化、メンテナンスなどの一連のポートフォリオに、OSIsoftが持つそれぞれの工程における現場のリアルタイムデータを加えることが可能となり「フルスタックソリューションを展開できる」(リリース文)。製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)では、各工程のデジタルツイン化に大きな注目が集まっているが、両社の統合によりデータの収集から工程に合わせた活用までを一元化したデジタル基盤構築が可能となる。

 AVEVAのCEOであるCraig Hayman(クレイグ・ヘイマン)氏は「今回の合意により、ビジネスプロセスの改善だけでなく、現場の非効率性も排除できるようになる」とその意義についてコメントしている。一方、OSIsoftの創設者でCEOのPatrick Kennedy(パトリック・ケネディ)氏は「インダストリー4.0や産業用IoTを含むDXプロジェクトに向けたサービスをより幅広く深く提供できるようになる」とコメントしている。

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