プロセス製造業のデジタルツイン化実現へ、AVEVAがOSIsoftを約5000億円で買収 : 製造マネジメントニュース
プラント用CADなどの産業用ソフトウェアを展開するAVEVAは2020年8月25日、産業用IoTデータ活用基盤などを展開するOSIsoftを買収することで合意したと発表した。
プロセス製造業向けの一元的デジタル基盤構築へ――。プラント用CADなどの産業用ソフトウェアを手掛けるAVEVAは2020年8月25日、産業用IoTデータ活用基盤などを展開するOSIsoftを買収することで合意したと発表した。買収額は50億ドル(約5323億円)だという。
AVEVAは1967年に英国で創業したソフトウェアベンダーである。主にプラントや造船など大型設備向けCADソフトの提供を、グローバルで展開してきた。2017年にフランスのSchneider Electric(シュナイダーエレクトリック)に買収されたが逆にAVEVA側にシュナイダーエレクトリックの持つ産業用ソフトウェア群を集約し、プラントやプロセス製造業において、設計から調達、建設、運転の最適化、メンテナンスから改善まで、一連のライフサイクルをカバーするポートフォリオを構築している。
一方、OSIsoftは大規模プラントなどのリアルタイムの産業用IoTデータを集約し可視化するIoTデータ基盤として高い評価を持つ「PI System」を展開しており、多くのシェアを獲得している。既にOSIsoftは、世界有数の電力事業会社1000社以上に採用実績があり、さらに石油・ガス会社、金属・鉱業会社、化学・石油化学会社、製薬会社においてもグローバル上位企業の多くで採用されているという。
今回の買収により、AVEVAの持つ設計から調達、建設、運転の最適化、メンテナンスなどの一連のポートフォリオに、OSIsoftが持つそれぞれの工程における現場のリアルタイムデータを加えることが可能となり「フルスタックソリューションを展開できる」(リリース文)。製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)では、各工程のデジタルツイン化に大きな注目が集まっているが、両社の統合によりデータの収集から工程に合わせた活用までを一元化したデジタル基盤構築が可能となる。
AVEVAのCEOであるCraig Hayman(クレイグ・ヘイマン)氏は「今回の合意により、ビジネスプロセスの改善だけでなく、現場の非効率性も排除できるようになる」とその意義についてコメントしている。一方、OSIsoftの創設者でCEOのPatrick Kennedy(パトリック・ケネディ)氏は「インダストリー4.0や産業用IoTを含むDXプロジェクトに向けたサービスをより幅広く深く提供できるようになる」とコメントしている。
いまさら聞けない「デジタルツイン」
デジタルツインというキーワードを、IoT活用やデジタル変革(DX)の流れの中で耳にする機会が多くなった。デジタルツインとは何か? について「5分」で理解できるよう簡単に分かりやすく解説する。
進むプロセス産業のデジタル変革、DX支援企業の立ち位置目指すAVEVAの挑戦
プラントや造船業界向けのCADソフトなどを展開するAVEVAは、シュナイダーエレクトリックのソフトウェア部門との合併により、製品ライフスタイル全域をカバーしデジタル変革を支援する総合ベンダーへと転身を図っている。日本での取り組みについて、AVEVA日本法人の日本統括代表である小暮正樹氏に話を聞いた。
持続可能な社会に「直列」につながる、アズビル新社長の山本氏が意気込み
アズビルの代表取締役社長兼執行役員社長(以下、社長)に新たに就任した山本清博氏が今後の方向性などについて説明。同社が掲げる5つの道標のうち『持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献』を基にしたさまざまな施策を進めるとともに、新設の「ITソリューション推進部」や「クラウド運用センター」によりDX化を加速させる方針だ。
いまさら聞けない「製造業のDX」
デジタル技術の進歩により現在大きな注目を集めている「DX」。このDXがどういうことで、製造業にとってどういう意味があるのかを5分で分かるように簡単に分かりやすく説明します。
製造業が「DX」を推進するための3つのステージ、そのポイントとは?
製造業のデジタル変革(DX)への取り組みが広がりを見せる中、実際に成果を生み出している企業は一部だ。日本の製造業がDXに取り組む中での課題は何なのだろうか。製造業のDXに幅広く携わり、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)のエバンジェリストを務める他2019年12月には著書「デジタルファースト・ソサエティ」を出版した東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター 参事の福本勲氏に話を聞いた。
データを世界の共通言語に、リアルタイムで製品収益を見える化する安川電機のDX
「データを世界の共通言語に」をスローガンとし「YDX(YASKAWA digital transformation)」として独自のデジタル変革(DX)を進めているのが、産業用ロボットやモーターなどメカトロニクスの大手企業である安川電機である。安川電機 代表取締役社長の小笠原浩氏に「YDX」の狙いについて話を聞いた。
プラントスマート化へ新認定制度開始、築40年以上が2025年には8割以上に
経済産業省は、高圧ガス関連施設の自主保安の強化を進めるために、IoT活用などを条件にした新認定事業所制度を2017年4月に開始する。
エッジは強く上位は緩く結ぶ、“真につながる”スマート工場への道筋が明確に
IoTやAIを活用したスマートファクトリー化への取り組みは広がりを見せている。ただ、スマート工場化の最初の一歩である「見える化」や、製造ラインの部分的な効率化に貢献する「部分最適」にとどまっており、「自律的に最適化した工場」などの実現はまだまだ遠い状況である。特にその前提となる「工場全体のつながる化」へのハードルは高く「道筋が見えない」と懸念する声も多い。そうした中で、2020年はようやく方向性が見えてきそうだ。キーワードは「下は強く、上は緩く結ぶ」である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.