苦境に立たされる中小製造業に支援の手、meviyによる最大10万円の部品無償提供メカ設計ニュース

ミスミグループ本社はオンライン記者説明会を開催し、部品調達オンデマンドサービス「meviy」による中小企業モノづくり支援策と今後のビジネス展開について発表を行った。

» 2020年08月26日 13時00分 公開
[八木沢篤MONOist]
ミスミグループ本社 常務執行役員 3D2M 企業体社長の吉田光伸氏 ミスミグループ本社 常務執行役員 3D2M 企業体社長の吉田光伸氏

 ミスミグループ本社は2020年8月25日、オンライン記者説明会を開催し、部品調達オンデマンドサービス「meviy(メヴィー)」による中小企業モノづくり支援策と今後のビジネス展開について発表を行った。

 まず、meviyの最新トピックスとして、同社 常務執行役員 3D2M 企業体社長の吉田光伸氏は「およそ2カ月に1度のペースで機能追加や商品拡大、納期短縮に関するリリースを行ってきたが、このサービスの進化に併せて、直近1年間でmeviyの利用者数は急拡大している。2020年第1四半期で累計4万5000ユーザーを突破した。これは対前年比で3倍の伸びだ」と述べ、好調さをアピールする。

利用者数が急拡大 利用者数が急拡大しているmeviy ※出典:ミスミグループ本社 [クリックで拡大]

 さらに、meviyの活用分野としては、製造業の中でも成長市場として位置付けられている自動車(CASE:コネクテッド、自動運転化、シェアリング/サービス、電動化)、半導体、物流、医療、巣ごもり需要、ESG(環境、社会、ガバナンス)などでの利用が進んでいるという。

meviyのサービスラインアップ部品調達におけるmeviyの活用効果 (左)meviyのサービスラインアップ/(右)部品調達におけるmeviyの活用効果 ※出典:ミスミグループ本社 [クリックで拡大]

落ち込む中小製造業を支援、meviyによる部品無償提供

 ただ一方で、製造業そのものは米中貿易摩擦、そして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が大きく影響し、非製造業と比べて業況の悪化が著しく、特に中小企業は大きなダメージを被っている。また、日本の製造業においては根本的な問題として深刻な人手不足や働き方改革の加速により、労働生産性向上への取り組みが急務となっている。

 そこで同社は、製造業の大半を占める中小企業をターゲットに、装置・設備部品調達における効率化とスピードをウリとするmeviyの利便性を体験できる「ものづくり中小企業支援」を開始。meviyで調達可能な部品(型番に「MV」が付く部品が対象で、ミスミカタログ掲載品は対象外)を対象に、1社当たり最大10万円分まで無償提供を行うという。

meviyによる「ものづくり中小企業支援」を開始 meviyによる「ものづくり中小企業支援」を開始 ※出典:ミスミグループ本社 [クリックで拡大]

 ものづくり中小企業支援の対象企業は、資本金3億円以下の法人または常勤する従業員の数が300人以下の法人。申し込み期間は、同年8月25日〜12月31日までで、支援決定先が100法人に達した時点で受付終了となる(詳しくは特設Webサイト参照のこと)。

 この新たな取り組みについて、吉田氏は「日本製造業の競争力強化、そしてCOVID-19からの復興のきっかけとして、多くの中小企業の皆さんにmeviyを活用してもらいたい」と説明する。

今後のビジネス展開を支える3つの柱

 さらに、オンライン記者説明会では、meviyの今後のビジネス展開について3つの方向性を示した。

 1つ目は「サービス進化」だ。これまでmeviyは新たな加工に対応するなど、サービス拡充に努めてきたが、「そのサービス進化の手を止めることなく、今後も進化を継続させていく」(吉田氏)という。その具体例が、アディティブマニュファクチャリング(AM)への対応だ。残念ながら、具体的な開始時期や内容についての言及はなかったが、近いうちにAM加工部品がmeviyのラインアップに追加されそうだ。

 2つ目は「アライアンス強化」だ。アライアンスについては、現在meviyが提供する「ラピッドプロトタイピング」においてプロトラブズとの業務提携を行っているが、今後、世界中の有力サプライヤーとの連携強化を加速させ、サービスと利便性の向上を加速させていくという。

 そして、3つ目が「グローバル化」だ。meviyは2020年から欧米を皮切りに海外展開を予定しており、meviyのサービスを海外市場でも広く普及させる狙いだ。

meviyによる「ものづくり中小企業支援」を開始 meviyによる「ものづくり中小企業支援」を開始 ※出典:ミスミグループ本社 [クリックで拡大]

 吉田氏は、これら3つの柱で労働生産性改革を世界レベルで推進していくとし、「労働生産性改革を通して、日本製造業の競争力強化、さらには進化につなげられるよう支援していきたい」と展望を語った。

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