NTT東日本がローカル5Gオープンラボをリニューアル、サブ6GHzの対応も着々製造業IoT(1/2 ページ)

NTT東日本は、ローカル5Gの検証環境「ローカル5Gオープンラボ」をリニューアルするとともに報道陣に公開した。5G基地局のマルチベンダー化や6GHz帯以下の周波数帯(サブ6GHz)への対応の他、農業用途での屋外検証を可能にするビニールハウスや畑などの整備も進めており、共同実証パートナーをさらに幅広く募る考えだ。

» 2020年07月31日 10時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
会見に登壇した“社長ロボ” 会見にはNTT東日本 社長の井上福造氏……ではなく、井上氏の声を学習して発話する“社長ロボ”が登壇。「ローカル5Gオープンラボ」の価値を訴えた

 NTT東日本は2020年7月30日、東京大学と共同して同年2月に設立したローカル5Gの検証環境「ローカル5Gオープンラボ」のリニューアルを発表するとともに、報道陣に公開した。5G基地局のマルチベンダー化や、2020年末に向けて制度化が進む6GHz帯以下の周波数帯(サブ6GHz)への対応の他、農業用途での屋外検証を可能にするビニールハウスや畑など圃場の整備も進めており、共同実証パートナーをさらに幅広く募る考えだ。

 ローカル5Gオープンラボは、2019年末から国内での免許申請が始まったローカル5Gの通信環境を利用してさまざまな産業への応用を検証することで、ローカル5Gの社会実装の加速を目指す施設だ。NTT中央研修センタ(東京都調布市)と東京大学 本郷キャンパス 大学院情報学環の中尾研究室の2拠点から構成されているが、今回リニューアルしたのはNTT中央研修センタの拠点になる。

「ローカル5Gオープンラボ」のエントランスとなるオープンスペース 「ローカル5Gオープンラボ」のエントランスとなるオープンスペース(クリックで拡大) 出典:NTT東日本

 同拠点では、機器の持ち込みが可能な広さ約100m2の検証ルームを中心に、コワーキングスペースやソリューション展示が可能なオープンスペース、検証後の打ち合わせや商談が行えるカンファレンスルームなどが用意されている。

「ローカル5Gオープンラボ」の構成 「ローカル5Gオープンラボ」の構成。検証ルーム、オープンスペース、カンファレンスルームなどから成る(クリックで拡大) 出典:NTT東日本

 検証ルームは、28.2G〜28.3GHzの帯域を用いた、制御信号に既存のLTEを、データ送信に5Gを用いるNSA(Non Stand Alone)構成のローカル5G通信が行えるようになっている。コアネットワークとなるEPC(Evolved Packet Core)や、LTEに対応するBBU(Base Band Unit)、5Gに対応するCU(Central Unit)/DU(Distributed Unit)などの通信機器とともに、基地局とアンテナを内部に設置している。今回のリニューアルに合わせて、5G対応の基地局とアンテナを新たに1種類追加しており、2020年秋ごろからマルチベンダーでの基地局の検証が可能になるという。

検証ルームに設置されている通信機器5Gの基地局とアンテナ 検証ルームに設置されているコアネットワークなどの通信機器(左)と、5Gの基地局とアンテナ(右)。5Gの基地局とアンテナについては、上部に新たに1種類追加されており、2020年秋から検証に利用できるようになるという(クリックで拡大)

 検証に利用可能ローカル5G端末は、現時点では開発ボードベースの試作機のみだが、モバイルルーター型の機器も順次追加していく予定。また、シールドボックスを用意しており、この中で開発中の5G機器の動作確認なども行えるようになっている。28GHz帯を用いたローカル5Gの通信速度については、検証ルーム内であれば下りで約500Mbps、上りで約50Mbpsを実現できている。「現時点では、パブリック5Gと同じ設定を採用しているので下り優先の通信速度になっている。ローカル5Gは上りにリソースを多く割り振るカスタマイズが可能なことが特徴なので、今後はそういった取り組みも進めたい」(NTT東日本の説明員)という。

ローカル5G端末は開発ボードベースの試作機を使用モバイルルーター型の機器も追加していく 検証に利用可能ローカル5G端末は開発ボードベースの試作機のみ(左)。今後はモバイルルーター型の機器も追加していく(右)(クリックで拡大)
シールドボックスサブ6GHz帯に対応する仮想環境 シールドボックスを使えば、開発中の5G機器の動作確認などが行える(左)。サブ6GHz帯に対応する5Gの基地局と端末の仮想環境もある(右)。中央の黒い機器が基地局、両脇の機器が端末になる(クリックで拡大)

 これらの他、サブ6GHz帯に対応する5Gの基地局と端末の仮想環境を用いた試験も行っており、法制度の整備が進んで免許申請が始まれば即座に対応できる体制を構築しているとのことだった。

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