世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ」の主催者であるドイツメッセは2020年7月14〜15日に初のデジタルイベント「ハノーバーメッセDigital Days」を開催した。本稿では、キーノートスピーチの1つに登壇した5G-ACIA 議長のアンドレアス・ミュラー(Dr. Andreas Mueller)氏による「5G for the Industrial IoT(産業用IoTのための5G)」の内容を紹介する。
世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ」の主催者であるドイツメッセは2020年7月14〜15日に初のデジタルイベント「ハノーバーメッセDigital Days」を開催した。本稿では、キーノートスピーチの1つに登壇した5G-ACIA 議長のアンドレアス・ミュラー(Dr. Andreas Mueller)氏による「5G for the Industrial IoT(産業用IoTのための5G)」の内容を紹介する。
5G-ACIAは「5G Alliance for Connected Industries and Automation」の略称で、5Gの産業用利用の在り方を模索するために2018年4月に結成されたグローバルフォーラムである。ドイツのZVEI(電気電子工業連盟)を中心に発足したが、現在はグローバルのさまざまな企業が参加。オートメーションやロボットなどの製造技術系の企業だけでなく、IT系企業、通信系企業などさまざまな企業が参加し、5Gの産業利用における規制や標準化、ユースケースなどについて話し合いを進めている。
ミュラー氏は「産業用途で5Gを広げていくためには、OT(制御技術)やIT(情報技術)など、かかわるエコシステム全てのプレーヤーを集め、話し合う必要がある。5G-ACIAはそういう話し合いの場としての役割を果たす」と語っている。
具体的には、以下の6つの目的を掲げている。
5Gは、最大10Gbpsの高速通信、1ms以下の低遅延、1km2当たり100万台の多数同時接続など、従来の4Gにない特徴を備えている。ミュラー氏は「携帯電話通信の高度化にすぎなかった4Gと異なり、5GはIoTなどモノを対象にした通信を実現する大きな変化である。その中でも産業用途が大きな注目を集めている。2019年のKPMGの試算では5Gによる製造業への影響は6000億米ドルに及ぶとしている」と産業向けでのインパクトの大きさについて語る。
産業用5Gの潜在的なアプリケーションとしては、モバイルおよびポータブル領域で活用したり、モーションデバイスパーツの情報を収集するのに活用したり、ワイヤレスセンサーや人と機械の協調などで活用したり、さまざまな領域が想定されている。ミュラー氏は「Wi-Fiを含めた従来技術では難しかった幅広い領域で通信技術を活用できるようになり、さまざまなアプリケーションが考えられる。『未来の工場』のカギを握る1つの技術だ」とミュラー氏は価値について述べている。
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