モーションプラスチック製品や可動ケーブルなどを展開するドイツのigusは2020年5月20日、同社の本社に設置した展示会場からオンライン記者会見を実施し、2020年の戦略や主力製品の発表を行った。
モーションプラスチック製品や可動ケーブルなどを展開するドイツのigus(以下、イグス)は2020年5月20日、同社の本社に設置した展示会場からオンライン記者会見を実施し、2020年の戦略や主力製品の発表を行った。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、毎年4月に開催されていたハノーバーメッセをはじめ、産業系展示会も多くが延期や中止を余儀なくされている。こうした状況の中、イグスでは本社敷地内に400m2の展示ブースを用意し、インターネットを通じてこれらの展示を見たり、担当者に話を聞いたりできるバーチャル展示会を実施している。今回の会見ではこのバーチャル展示会の仕組みを生かし、新製品の紹介や戦略をオンラインで発表した。
同社CEOのFrank Blase(フランク・ブラーゼ)氏は「COVID-19の影響で年初から売上高は減少したが、受注は安定して獲得できている。技術革新やコスト削減ソリューションへの関心は高まっており、イグスのさまざまな製品が貢献できると考えている」と語っている。
会見では数多くの新製品が発表されたが、いくつかの注目商品を紹介する。1つ目は、故障を予知してメンテナンス推奨時期を知らせる「イグリデュール製isenseすべり軸受け」である。
「isense」は、イグス製品に取り付け、状態監視や寿命予測データを収集するセンサー類だが、2019年にはプロトタイプとしてこのisenseとすべり軸受を組み合わせた「isenseすべり軸受」を紹介していた。今回新たに標準製品として5種類のイグリデュール材質の製品を用意した。
すべり軸受に組み込まれたモニタリングシステムが摩耗状況を検知し、摩耗限界に達するよりも早い段階で通知する。これにより、計画的なメンテンナンススケジュールを立てることができ、不要な交換や、機械やシステムの予期せぬ故障を回避可能となる。
材質は「イグリデュールG(最も汎用的な材質)」「イグリデュールP210(揺動、回転機構向け)」「イグリデュールJ(汎用性の高い長寿命タイプ)」「イグリデュールA180(食品機械向け、FDA・食品衛生法準拠)」「イグリデュールQ2E(建設機械や農業機械など高荷重条件向け)」の5種で、内径20、30、40mmの3サイズを用意する。その他の材質やサイズは今後拡充予定だとする。
長い距離でのエネルギー供給を安全かつ低コストで実現する新しいエナジーチェーンシステム「オートグライド5」も発表した。
コンパクトなスペースでのエネルギー・データ伝送、自動倉庫などの高速レーン移動では、バスバーシステムが採用されているが、メンテナンス費用が高い点や電力伝送のみの適用が多い点、定期クリーニングが必要である点などのデメリットがある。
「オートグライド5」は、最高速度秒速4m、最長ストローク80mで、ケーブルをガイドチャンネルなしで安全にガイドする。通路に設置するロープやレール上に簡単に取付けが可能で、メンテナンスフリーである点や従来型ガイドチャンネルに対し取付時間が約88%短縮されることが利点となっており、バスバーシステムとの代替を狙う。
ケーブルやホースを安全にガイドしてエネルギーの供給やデータを伝送し、かつスピーディーな収納を実現する「eスプール フレックス」も新たに展開する。
生産現場でのケーブルのコンパクトな収納は安全や生産性の面からも必須だが、スリップリング付きのケーブルリールはデータ伝送で活用するときは複雑になり運用の難しい場合がある。イグスが新たに開発した「eスプール フレックス」は、ケーブルの巻き取りにスリップリングが不要で、バスケーブルやエアー、液体用のホースも円滑にガイドできる。既存のケーブルをこのシステムに簡単に取り付けることができるため、費用を節約できるだけでなく、作業場の安全性も高められる。
手動でケーブルを巻き取る低コストバージョンと、ブレーキとスプリング駆動のリターン機構を備えた自動巻取りバージョンの2種類を用意し、ケーブル直径5〜8mmで最長15m、ケーブル直径8〜11mmで最長10m、ケーブル直径11〜15mmで最長5mの3種類のサイズを展開する。
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