システムズエンジニアリングによって設計される製品の構成要素は、設計部品表/材料表(e-BOM)として定義されます。e-BOMといえば、従来は物理的な部品やモジュールのみを扱っていましたが、最近ではより広義の意味で捉え、電子、制御、ソフトウェアなど製品を構成する要素全てが対象となります。
前項では、新規性の高いビジネスケースを実現する製品をいかに「正しく、効率的に」設計するかについて述べましたが、さらに迅速に上市するためには、製造や調達などの関連業務との連携がポイントとなります。関連業務間の製品構成情報の流れを図7に例示します。
他領域で使用されるBOMまたは製品構成情報には以下のようなものがあります。どのBOMを実際に使用しているかは企業によって異なります。
前述の通り、組立系の製造業においては、部品構成を機能ごとの多階層のツリー構造で表現することが一般的です。また、基本構成+オプションで多様な製品ラインを展開することもあり、そのために考えられる全てのオプションが含まれた部品構成を定義し、製品型番によって個々のオプションの要/不要を切り替えて表現します。
工場でのモノづくり工程を定義するものです。具体的には、部品の組み立てや加工の順序を考慮して製品構成を表現したのが製造部品表(m-BOM)で、同じ製品構成を表現していても設計側と視点が異なります。また、製造工程自体を表現するには、製品/部品だけではなく工程途中で生成される半製品、治工具、設備、用役の情報も含む工程表(Bill of Process、省略形はBOP)が用いられます。このBOP情報を基に、生産設備や工場作業員に対する作業指示を作ります。
受注生産(見込みと受注ベースが混在するケースも含め)の場合、顧客が求める機能を実現する製品構成と該当する見積を提示します。顧客にとって詳細な製品構成情報は不要なため、この製品構成はe-BOM、m-BOMと比較すると、モジュールやオプションなどより大きなくくりで表現されます。
m-BOMを調達目的で利用することもありますが、調達部門で独自に調達部品表(p-BOMと呼ぶ場合もあります)を定義することもあります。調達の視点では、サプライヤーに関する情報、発注個数や単価、在庫情報などが必要となるためです。
生産して顧客に納入した後、使用していく中で補修や交換によって実際の製品構成が変化していきます。販売後のサービスビジネスに生かすためには、販売後の製品構成を追跡していくサービスBOMが重要です。
特に最近のデジタル改革の潮流としては、以下のようなことを実現できなければなりません。
製品ごとに、ハードウェアの保証期間や修理、交換時期の履歴、ソフトウェアのバージョン情報を含むサービスBOMが必須です。
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