ダッソー・システムズは、オンラインによる事業戦略説明会を開催し、同社のビジョンを踏まえた近年の事業展開、目指すべき方向性、そして、新型コロナウイルス感染症対策支援の取り組みについて紹介した。
Dassault Systemesの日本法人であるダッソー・システムズは2020年5月28日、オンラインによる事業戦略説明会を開催。同社のビジョンを踏まえた近年の事業展開、目指すべき方向性、そして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策支援の取り組みなどについて紹介した。
「3DEXPERIENCE」を標榜し、顧客企業の製品開発を支援する同社の事業目的について、同社 代表取締役社長のフィリップ・ゴドブ氏は「われわれが目指すのは、製品と人々の生活と自然環境、これら3つの調和が取れた事業支援だ」と述べる。同社はこうした信念の下、サイエンス企業として軸足を置きつつ、長期的展望を持ちながら段階的に事業を拡大させてきた。
そして、現在、製品から得られる消費者の体験・感性まで含めた、包括的な製品開発を支援する「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を展開する中で、今後さらに重要度が増していくものが「バーチャル化」だという。「今後、デジタル化と並ぶ技術トレンドとしてはもちろんのこと、多くの産業分野、さらには社会全体のさまざまな局面において、バーチャル化が重要な役割を果たしていくだろう」(ゴドブ氏)。
そこで、同社が次の一手、次期戦略として掲げるのが「バーチャルツイン ヒューマン・エクスペリエンス」だ。これまで同社が主に製造業の領域で培ってきた全ての技術や知見を、ヘルスケア領域にまで適用することで、人体のバーチャル化(バーチャルヒューマンの実現)を実現し、医療や医薬などの人体への影響だけでなく、人体を深く理解することで社会や暮らしの向上までも可能にするという考えだ。ゴドブ氏は「これこそが、ダッソー・システムズが次に目指すべき方向性だ。製品開発のさらに先へと事業領域を拡大させていく」と展望を語る。
一方、切実にバーチャル化の必要性を強く感じさせたのが、今回のCOVID-19による影響だ。説明会では、同社が取り組むCOVID-19対策支援プロジェクトの紹介も行われた。
COVID-19が猛威を振るう中、政府や関連機関は対策に向けた迅速な決断が迫られる。しかし、その決断が本当に正しいものなのか、その決断によりどのようなことが起こり得るのかを的確に捉えることは難しい。「こうした局面にこそ、バーチャル技術の活用が有効であり、それを実現できるのがダッソー・システムズだ」とゴドブ氏は強調する。
実際、同社はバーチャル化を実現し、意思決定を支援するソリューションとして、3DEXPERIENCEプラットフォームを活用した複数のCOVID-19対策支援プロジェクトに取り組んできた。例えば、新薬開発の現場では「BIOVIA」が、病院内の換気システムの設計では「SIMULIA」が、臨床試験では「MEDIDATA」が活用され、迅速な対応が求められるCOVID-19対策の現場で役立てられたという。
また、「今回の取り組みで明らかになったのは、お互いに離れた場所にいる人たちが、連携して業務に当たらなければならないということだ」(ゴドブ氏)とし、リモートコラボレーションの重要性を説く。同社は、そのためのクラウドソリューション(3DEXPERIENCE on the Cloud)を展開しており、COVID-19対策支援プロジェクトだけでなく、教育現場の支援においてもその価値を存分に発揮したとしている。
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