PTCジャパンは、3次元設計ソリューション「Creo」の最新バージョンである「Creo 7.0」を発表した。機能強化ポイントのうち、特にジェネレーティブデザイン、リアルタイムシミュレーション、マルチボディ設計の3つがCreo 7.0を象徴するものだという。
PTCジャパンは2020年4月22日、オンライン記者説明会を開催し、同社の3次元設計ソリューション「Creo」の最新バージョンである「Creo 7.0」を発表した。
同説明会に登壇したPTC ディビジョナル バイスプレジデント/Creo CAD事業担当 ゼネラルマネージャーのブライアン・トンプソン氏は、AI(人工知能)や IoT(モノのインターネット)、AR(拡張現実)に代表される新たなテクノロジーが設計、製造に変化をもたらすとし、「これらのテクノロジーをユーザーの設計環境に完全統合し、日々の設計業務の中でシームレスに活用できるのがCreoだ」と強調する。
このトンプソン氏の言葉通り、これまで同社は設計者の業務プロセスを変革するさまざまな機能をCreoの中に完全統合する形で取り込み、1つのツールとしての成熟度を高めてきた。
今回のCreo 7.0でもその思想は変わらず、大きく5つの機能強化が図られているという。その5つとは、「作業効率化のための機能改善」「ジェネレーティブデザイン」「リアルタイムシミュレーション」「マルチボディ設計」「付加製造・除去製造」である。
中でも、ジェネレーティブデザイン、リアルタイムシミュレーション、マルチボディ設計の3つについては、「今回のバージョンアップを象徴する最も大きな開発領域である」(トンプソン氏)とし、デモンストレーションなどを交え、その詳細が語られた。
ジェネレーティブデザインに関しては、同社が2018年11月にAIを活用したジェネレーティブデザイン技術を保有する米Frustum(フラスタム)の買収を発表して以来、その動向が注目されてきた。当時、「2020年発表予定のCreo 7.0の中にFrustumの技術の一部が組み込まれることになるだろう」(同社)との説明があったが、予告通り新機能としてジェネレーティブデザイン機能を搭載した格好だ。
ジェネレーティブデザインは、荷重や制約、優先使用材料、製造工程(加工方法)といった各種条件や設計要件を基に、コンピュータが最適形状を導き出すアプローチで、近年、3D CAD業界におけるトレンドの1つとして注目されてきた。
「設計者は、設計の初期段階でジェネレーティブデザインを活用することで、設計時間や市場投入期間を大幅に短縮でき、これまでにない革新的なデザインを生み出せるようになり、コスト低減といったさまざまな効果も享受できるようになる。設計の世界で重要度が増すジェネレーティブデザインの機能を、密に、深い形でCreoに完全統合することができた」(トンプソン氏)
次ページでは、実際のデモンストレーションの画面を交えながら、Creo 7.0のジェネレーティブデザイン機能の詳細について紹介する。
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