東邦大学は、生後4カ月以上の0歳児を対象とした共同研究で、親子がハグによりリラックスすることを実証した。まだ言葉を話せない乳児の安心感を理解する助けとなり、科学的な子育ての検証につながることが期待される。
東邦大学は2020年4月7日、生後4カ月以上の0歳児を対象とした研究で、親子がハグによりリラックスすることを実証したと発表した。この成果は、同大学医学部 助教の吉田さちね氏らと、東京大学、大阪大学との共同研究グループによるものだ。
今回の研究では、100組以上の親と0歳児のペアを対象とし、腕で抱きしめる「ハグ」の作用を検討した。「軽く縦抱きする」「かわいいと思ってぎゅっとハグする」「そのまま走れるくらい力強く抱きしめる」という3つの抱き方で、母親が乳児を20秒間抱き、心拍間隔の増加率を比較した。
その結果、4カ月以上の乳児が「ぎゅっとハグ」された時は、他の2つの方法で抱かれたときと比べて心拍間隔の増加率が高くなり、副交感神経が活性化しているリラックス状態であることが分かった。
父親や初対面の女性によるハグの影響も調べた。手の大きさや体格が母親とは違う父親のハグでも、母親同様の結果が示された。初対面の女性がハグした場合は、両親がハグしたときと比べて、乳児の心拍間隔の増加率は下がった。
このような結果は、生後4カ月以前の乳児では認められなかったことから、生後4カ月間での乳児の発達や、両親との関係性の成熟を示すと考えられる。
また、アンケート調査では9割以上の両親が「自分の子をハグすると安心する」と答えた。実際の調査でも、両親ともに自分の子をハグすると心拍間隔の増加率は高くなり、リラックスすることが示された。
子どもの心身の発達に、親子の触れ合いが重要であることは知られていたが、これまで触れ合いの影響を直接定量した研究はなかった。今回の研究成果は、まだ言葉を話せない乳児の安心感を理解する助けとなり、科学的な子育ての検証につながることが期待される。
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