“脱2次元”できない現場を対象に、どのようなシーンで3D CADが活用できるのか、3次元設計環境をうまく活用することでどのような現場革新が図れるのか、そのメリットや効果を解説し、3次元の設計環境とうまく付き合っていくためのヒントを提示します。最終回はこれまでの内容をおさらいし、重要ポイントをあらためて取り上げます。
これまで10回にわたり、「“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用する方法」をテーマに解説をお届けしてきました。
連載の中で何度も繰り返し紹介してきた通り、3D CADを活用することで、設計ミスを減らし、品質向上、コスト低減、納期短縮などにつなげることができます。また、実際に3D CAD活用を社内に広めていく上で重要なのは、何よりも“皆が喜ぶことをする”ことです。
さて、いよいよこの連載も最終回です。今回は、これまでお届けしてきた内容から重要ポイントを抽出し、“総まとめ”といたします。
3D CADは、立体図を作成するためだけのソフトウェアではありません。立体形状にすることで2Dの図面よりも形状認識がしやすくなるのはもちろんですが、それだけではなく、断面を切ったり、組み立て性の検討や部品と部品の干渉チェックを行ったり、材料を指定して質量や重心を確認したりといったことが可能になります。
また、3Dモデルから2D図面を容易に作成できます。2D図面を作成する場合、人間が頭の中で想像したり、計算したりする部分がありましたが、3Dにすることでこうしたプロセスが軽減され、人的ミスを大幅に減らすことができます。
CAEやCAMといったソフトウェアと連携し、3D CADで作成した3Dモデルを使用して構造解析や熱、流体などのシミュレーション(CAE)、加工プログラムの作成(CAM)なども行えます。最近では3Dプリンタも主流となってきて、3D CADで作成したモデルをそのまま3Dプリントして、物理的なモノとして手にすることも可能です。
3次元の最大のメリットは、誰でも形状を認識でき、皆でモノづくりができることであり、モノづくりに関わる全員が3次元を活用することで、その価値を最大化できます。詳しくは、連載第2回「3次元のメリットを最大限に引き出すために必要なこと」をご覧ください。ここで「設計」「加工」「生産」「検査」の4つの工程それぞれにおける“3次元のメリット”を解説しています。
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