日本マイクロソフトは、東京都内で開催したIoTをテーマとするパートナーイベント「IoT in Action Tokyo」に合わせて、クラウドプラットフォーム「Azure」を活用したIoTの普及とビジネス拡大を目的とする「IoTビジネス共創ラボ」の取り組みや事例を記者向けに説明した。
日本マイクロソフトは、東京都内で開催したIoT(モノのインターネット)をテーマとするパートナーイベント「IoT in Action Tokyo」(2020年2月6日)に合わせて、クラウドプラットフォーム「Azure」を活用したIoTの普及とビジネス拡大を目的とする「IoTビジネス共創ラボ」の取り組みや事例を記者向けに説明した。
IoTビジネス共創ラボは2016年2月、日本マイクロソフトや幹事社の東京エレクトロン デバイスをはじめ10社が参加して発足。現在の参加企業は、日本マイクロソフトと東京エレクトロン デバイスを含めて14社となり、一般会員は656社/924人まで増えている(2020年1月5日時点)。
東京エレクトロン デバイス クラウドIoTカンパニー エンベデッドソリューション部 担当部長の福田良平氏は「2016〜2018年の3年間は東京で規模拡大してきたフェーズといえるだろう。足元の2018〜2020年は、地方展開に注力しているところだ」と説明する。
IoTビジネス共創ラボの設立目的は、IoTやAI(人工知能)、クラウドを活用して、日本で起こっているさまざまな課題を解決することにある。東京以外の地方ではそれらの課題はより喫緊であり深刻だ。地域経済の停滞、就労人口の減少や後継者不足、薬品や食品の安全、省エネルギー化への対応など対応すべき課題は山積している。「先ほど述べた地方展開で注力しているのが、これらの課題をその地域に根差して解決する地域版IoTビジネス共創ラボの強化だ。東日本を中心に8地域で展開している」(福田氏)という。
説明会では、福島、かわさき、石川・金沢、中部の4つの地域版IoTビジネス共創ラボで取り組んだソリューション事例が紹介された。
福島の事例では、日本クリーンシステムのごみ貯留排出機「GOMIC」におけるIoT活用を福島コンピュータシステムが担当した。ごみ貯留排出機は、病院やショッピングモールが排出するごみを圧縮・減容化して貯留しておく装置だ。本事例では、GOMICを制御するPLCのデータを「Raspberry Pi」に集積してからモバイルルーターでAzureに送信することで、故障モニタリングやごみ量の正確な検知が可能になった。また、このIoT化によって海外展開も可能になり、シンガポールの統合型リゾート「マリーナベイ・サンズ」の採用にもつながったという。
かわさきの事例では、摩擦圧接加工を手掛ける大矢製作所の既存装置における生産実績と品質保証のデータを収集・管理するソリューションの開発を東京エンヂニアリングと東京エレクトロン デバイスが担当した。この既存装置は10年以上前のものだったが、PLCの交換、放射温度計の設置、データの収集とAzureへのアップロードを行うFTPクライアントの追加でIoT化を実現。福田氏は「生産実績や品質保証データを収集するだけでなく、ミリ秒オーダーでの加工データの収集も可能になった。今後はAI活用も提案していきたい」と述べる。
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