スマート工場EXPO 特集

LED灯を置くだけで50mの距離で位置測位、可視光通信を使った高精度測位システムスマート工場EXPO2020

カシオ計算機は、「第4回スマート工場EXPO」(2020年2月12〜14日、東京ビッグサイト)において「IoT×屋内測位パビリオン」に出展し、可視光通信を使った高精度位置測位システム「picalico(ピカリコ)」を紹介した。

» 2020年02月14日 12時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 カシオ計算機は、「第4回スマート工場EXPO」(2020年2月12〜14日、東京ビッグサイト)において「IoT×屋内測位パビリオン」に出展し、可視光通信を使った高精度位置測位システム「picalico(ピカリコ)」を紹介した。

photo LED灯の光らせ方で信号を送る「picalico」(クリックで拡大)

簡単に屋内位置測位が可能に

 「picalico」は、LED灯の発光色を変化させて信号を送信する独自の可視光通信を使い、工場や倉庫などの屋内で作業する移動機器の位置や状態の情報を収集できるシステムである。信号は、3色(赤・緑・青)の発光色を10Hzの周期で24回切り替える色変化のパターンで構成されており、そのパターンを1つのID情報とする。信号の受信は、LED灯の発光を撮影するカメラで行い、その映像データを「picalico受信アプリ」でID情報に変換。あらかじめID情報に登録したフォークリフトなどの位置情報を「picalicoポジションアプリ」で算出するという仕組みだ。

photo 「picalico」の概要(クリックで拡大)

 信号として送信する色変化のパターンは106万2882通りの組み合わせができる他、カメラ1台で最大100個の信号を同時に受信し、それぞれの位置を測位できるという。

 利用用途は、工場の自動搬送機や台車、倉庫のフォークリフト、パレットなどに設置したLED灯から信号を送信し、それをカメラで受信することで、距離50mで、±60cm以下の高精度でリアルタイム測位が可能である。また、LED灯の信号を切り替えることで、位置測位だけではなく、積荷の有無などの移動機器の情報も収集できる。

 カシオ計算機 事業開発センター イメージング企画推進部 アドバイザリーエンジニアの飯塚宣男氏は「製造業や物流業などがターゲットユーザーとなるが、カメラを使うために高い棚などがないところの方が力を発揮できる。そういう意味では物流倉庫よりも製造業の倉庫や工場などの方が向いている。実際にそういう引き合いの方が多い」と反応について語っている。

 測位をした位置データや移動機器の情報は、動線分析システムや位置管理システムなど、さまざまな上位システムで利用可能。現状ではシーイーシーの動線分析システム「RaFLOW(ラフロー)」に対応するが「その他のシステム連携についてもいくつか動き始めている」(飯塚氏)。

photo 「picalico」の仕組み(クリックで拡大)出典:カシオ計算機

 会場では2つのカメラを設置し、LED灯を光らせて位置情報の検出を行った。それをリアルタイムで位置情報に反映。ブース内のどの位置にあるのかをディスプレイ上に示すデモを行った。

photophoto ブース内に設置されたカメラ(左)と位置測位の様子(右)画面上の青丸内の青い点が、画面上に掲げられたLED灯の位置を示している(クリックで拡大)

 現状ではカメラはBasler製の「acA1300-60gc」を採用しているが、LED灯側は条件となる発光パターンが表示できるものであれば何でも使用可能。実際にパトライトの積層信号灯と組み合わせて実証を行っている例もあるという。飯塚氏は「あまり利用用途がないので実用化は考えていないが、スマートウォッチを発光させることができれば、そこで位置測位を行うことも可能だ。現状はソフトウェアなどを個別に展開しているが、今後はカメラ内に一体化しエッジでの処理を行えるような独自カメラの開発なども進めている」と述べている。

photo 「実用化は考えていない」とするがスマートウォッチなどで位置測位をすることなども可能(クリックで拡大)

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