物流業界で長年課題とされていた「物流資材の紛失」を防ぐソリューションをHacobuが発表。Sigfoxを活用したIoTでカゴ車やパレットの「滞留」と「紛失」を見える化し、物流業者のスムーズな回収業務をサポートする。
Hacobuは2020年2月10日、同社のクラウド型物流ソリューション「MOVO」の新たなアプリケーションとして、物流資材の紛失を防ぐ流通資源モニタリングサービス「MOVO Seek」を発表した。同年4月からサービスを開始する予定。
同社は「運ぶを最適化する」をミッションとして企業間物流の最適化を目指し、デジタル物流情報プラットフォーム「MOVO」を提供している。MOVOは、他システムとAPI連携する多様なアプリケーション(以下アプリ)と、データを蓄積するプラットフォームで構成。待機時間を解消する納品予約受付アプリ「MOVO Berth」、IoTデバイスをトラックに載せリアルタイムで位置情報を確認する動態管理アプリ「MOVO Fleet」、手の空いている運送会社を手配する配送依頼アプリ「MOVO Match」を現在リリースしている。
Hacobu社長 兼 CEOの佐々木太郎氏は「MOVOユーザーの拠点数は2019年1月には528拠点だったのが、2020年1月には2204拠点と1年間で4倍強に拡大している。ある食品卸会社ではMOVO Berthによって待機時間が78分から4分へと95%も削減できた。またある大手EC会社ではバース(荷積み/荷降ろしを行うエリア)の稼働率が30%向上し、荷受け時間が毎日2時間削減できるなど庫内の生産性アップやコスト削減効果を生み出している」と語る。
MOVO上の新たなアプリとして今回発表されたMOVO Seekは、物流業界で長年課題とされていた「物流資材の紛失」を防ぐソリューションだ。物流資材の「滞留」と「紛失」をIoTで見える化し、物流業者のスムーズな回収業務をサポートするという。
同社ソリューションアーキテクトの石川葵氏は物流資材の紛失について「物流業界で使用されるカゴ車、パレットなどと呼ばれる物流資材は、一般的に1年で10%が紛失するといわれている。これは破損の他に、物流施設の中で放置されたり、同業他社による持ち帰りなどで紛失するなどが頻出するため。紛失の費用は荷主が補填しており、物流コストの増加につながっている」と語る。
MOVO Seekはカゴ車やパレットなど物流資材にIoT端末を取り付けて位置情報を把握。IoT端末は防水防壁構造で、電池寿命は約7年と非常に長いのが特徴だ。
利用者はこのIoT端末を物流資材に取り付けるだけで、固定設備による読み取り業務を行わずにPC画面上で滞留が起こりやすいエリアを確認できる。また長期間拠点に戻っていない物流資材も把握でき、軌跡をたどって紛失原因を推定できる他、IoT端末が故意に取り外された場合も検知可能だという。
同社によるMOVO Seekの実証実験では、1カ月間で7%のIoT端末が物流センターに戻ってきていないことが判明。探索してみたところ、店舗外で他業者が使用していたケースが2%、店舗に滞留していたのが5%だったという。
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