日本マイクロソフトはIoTをテーマとするパートナーイベント「IoT in Action Tokyo」において、オフィス家具大手であるオカムラとの協業について発表。両社は同イベントの基調講演で、オフィスにおけるIoT活用の可能性について説明した。
日本マイクロソフトは2020年2月6日、東京都内で開催したIoT(モノのインターネット)をテーマとするパートナーイベント「IoT in Action Tokyo」において、オフィス家具大手であるオカムラとの協業について発表した。同イベントの基調講演では、日本マイクロソフト 業務執行役員 IoTデバイス本部長の菖蒲谷雄氏と、オカムラ 上席執行役員 マーケティング本部長の荒川和巳氏、同社 マーケティング本部 DX推進室 室長の遅野井宏氏が登壇し、オフィスでのIoT活用の可能性について説明した。
1945年に創業したオカムラは、2018年4月の社名変更(旧社名は岡村製作所)に合わせて、より良い未来の働き方を実現するオフィスに向けて広範囲の異業種、異業界と共創していく方針を打ち出している。今回の協業では、オカムラが、日本マイクロソフト、サトーと連携してオフィス家具をIoT化して、より良いワークプレイスの実現を目指すとしている。オカムラが参画する未来のオフィス空間「point 0 marunouchi」(東京都千代田区)を使って、2020年中に実証実験を進め、2021年内からサービスを開始する計画だ。
今回の協業では、オカムラがIoT搭載オフィス家具の生産と販売、そして得られたデータを活用したオフィスIoTビジネスの確立と商用展開を進める。日本マイクロソフトは、クラウドとして「Azure」を提供するとともに技術とマーケティング面で協力する。サトーは、オフィス家具をIoT化するのに必要な次世代RFIDタグを含むセンサーソリューションの生産と供給を担当する。
オカムラの荒川氏は「“オフィス”というと事務作業を行う部屋というイメージだが、これから働き方改革が進む中で、仕事をする場所という意味合いを込めて“ワークプレイス”に変わっていくのではないか」と語る。
高齢化によって進む人材不足に対応しつつ労働生産性も向上していくには、従来のような部や課単位で机を並べておく“オフィス”ではなく、フリーアドレス制などを活用した“ワークプレイス”に変えて、企業自身の活力を高められるようにする必要があるというわけだ。「優秀な人材の確保と定着、生産性の向上、創造性の発揮、健康に働けること、そして企業文化の表出という観点からも、変化が必要ではないか」(荒川氏)。
そのためにはオカムラ自身も変わっていく必要がある。従来の“オフィス”づくりでは、オフィス家具という「モノ」を売る、売り切りビジネスが中核になっていた。荒川氏は「“ワークプレイス”づくりでは、さまざまな『コト』の提案が必要になる。生産性の向上ももちろん、働き心地にも配慮しなければならない。そのためにもITを駆使していかなければならない」と強調する。
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