材料力学や構造力学には「力学」という言葉がくっついています。ここでは力学についてカンタンに説明します。
とても大ざっぱな言い方ですが、力学を一言で表現すると、「物体に力が加わると運動する」ということです。
それでは、物体に注目しましょう。物体を表現するいくつかの形態があります。
物体を「点」として表現します。点なので、面積も体積もありません。よって「大きさ」がありません。ただし、質量だけあります。質量だけ持つ点なので、「質点」ともいいます。
物体を「剛体」として表現します。剛体は文字通り、無限に硬いことです。力を加えても変形しません。剛体には形があります。質量と大きさを持っています。大きさがあるので重心点があります。
物体を「連続体」として表現します。連続体とは空間上に質量が連続的に分布する物体です。石コロや水、それに空気も連続体です。石コロは固体、水は液体、空気は気体という形態になります。液体と気体は流体です。
それぞれに力を加えるとどのような変化が起こるのでしょうか(図1)。
質点に力を加えると、質点の位置が変化します。点が移動するというわけです。一方、剛体に力を加えると、多くの場合、剛体の重心点を中心に姿勢が変化します。そして、連続体に力を加えると、形が変化します。変形するということです。
連続体に加える力と、それに伴う連続体の変形の関係を説くのが材料力学です。ここまで書くとお気付きの読者もいらっしゃると思いますが、有限要素には、質点、剛体、連続体をそのまま表現できる有限要素があります。質量要素や剛体要素は、有限要素モデルの中で、解析対象以外の部品を省略するのに使われます(図2)。
材料力学を解く方法として、手計算や有限要素法による計算があります。
ここで、ハッと気付くことはありませんか?
そうです。基本的には、有限要素法は連続体にしか適用できないのです。分かりやすく言えば、単品部品です。
アセンブリの解析は多数存在しますし、需要としても多いことでしょう。しかし、アセンブリは連続体ではありません。単品部品の集合体です。部品と部品の接合面に条件を入れなければなりません。接合面は最初からくっついているのか、通常は離れていて変形したときにくっつくのか、接したときに滑るのか、滑らないのか、滑るのなら摩擦があるのか、ないのか、摩擦があるとしたら摩擦係数はいくつか、などなど……。このような“接合条件のモデル化がアセンブリ解析の精度のキモ”となります。
アセンブリ解析を行う前に、まずはキッチリと単品部品の構造解析の考え方やコツを修得しましょう。
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