機械メーカーで機械設計者として長年従事し、現在は3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者が公差計算や公差解析、幾何公差について解説する連載。第12回は「位置公差」のうち「位置度」について取り上げる。
「データム(Datum)」を必要とする幾何公差も後半に入りました。今回からは「位置公差」の説明をします。
位置公差は、対象となる形体がデータムに関連して、中心点や軸線、中心平面などが、幾何学的に正しい位置に対して偏差の許容値内にあるかを規定します。前回までお話してきた姿勢公差と同じく、幾何公差の分類の中でデータムを参照することから「関連形体」に分類されます。
位置公差には、以下に示す6つの幾何公差があります。
では、順を追って説明していきます。
「位置度」は、データムを測定基準に、“形体が寸法で指示した位置にあってほしいこと”を指示するものです。
この指示された形体の寸法は、四角い枠で囲われた“理論的に正確であること”を示す「理論寸法」として表記され、これと位置度を組み合わせることで使用します(筆者は「理論寸法」よりも「理論的に正確な寸法」という表現を多用しています)。理論寸法について、JIS(日本産業規格)本文を参考にまとめてみると、以下のようになります。
それでは、位置度の定義を見てみましょう。「JIS B 0621:1984 幾何偏差の定義及び表示」(以下、JIS)によると、
位置度とは、データムまたは他の形体に関連して定められた理論的に正確な位置からの点、直線形体または平面形体の狂いの大きさをいう
とあります。
位置度は、点、直線形体または平面形体が理論的に正確な位置に対して占める領域の大きさによって、大きく3種類に分類することができ、「位置度_mm」あるいは「位置度_μm」と表示します。では、順を追って説明していきます。
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