作業分析で想定以上の成果を導き出す「VTR分析」活用のススメ:よくわかる「標準時間」のはなし(12)(3/4 ページ)
VTDは、VTRが企業に普及するに従って、自然発生的に形成されつつあるIE手法の一つであり、VTRの“現象を忠実に再現する”という機能と複数の人たちの総合的な判断力や創造力の組合せによって、互いに他の人を補って発展させ新たな改善案を検討し、直接アクションと結び付ける働きを促そうとする考え方です。
- 問題の焦点をどこに置くべきかを決め、その目的とする対象をVTRに記録する
- ディスカッションがスムーズに進行できるように、必要に応じて画面に合わせて作業内容の説明を録音する
- 関係者(生産技術担当者、現場監督者、現場作業者など)を1カ所に集めてVTRを囲んで録画した画像を何回も再生して問題点を発表し合うとともに、建設的な意見、具体的な改善案を提案し、ディスカッションを進めて行く
- 改善計画などの結果をまとめる
VTDは、以下に示すように非常に多くの長所を持っており、今後、積極的に取り入れて行くべき手法といえます。
- VTDにおけるVTR手法の長所
- (a)明るいところでの再生が可能なために、発言や記録が支障なくできる
- (b)録画時間が長いため、ディスカッションに十分な時間がとれる
- (c)録画時間が長いため、記録開始から5分〜10分経過後の撮影においては、比較的作業者がカメラを意識しなくなるので、自然な状態を録画できる
- (d)討論の内容を録音できる
- (e)再生速度が正確であるから、レイテイングもディスカッションの対象になる
- (f)VTRの取扱いが利便性が高く、必要なときにすぐに開催・実行できる
- (g)ストップウォッチで時間測定ができる
- VTDのメリット
- (a)参加メンバー全員に、常に現状を認識してもらえる
- (b)多人数による観察なので、問題点を逃さず発見しやすい
- (c)参加メンバーの衆知を集めて改善や対策を協議できるので、高い水準の改善案が容易に得られる
- (d)多くの現場を効率的に検討できる
- (e)管理者が参加しやすく、従って意志決定がその場でなされるものが多くなる
- (f)結果がすぐにアクションに結び付く
- (g)参加者のモノの見方や考え方が未熟である場合、自分で気付き反省することで、思考力や想像力が醸成される
- (h)作業に対する初心者からベテランまで、あらゆるレベルの誰もが参加できる
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