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» 2019年11月28日 07時00分 公開

“10m以下”のオムロンと“100m以上”のシーメンスがスマート工場基盤で提携スマートファクトリー(2/2 ページ)

[三島一孝,MONOist]
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製造業IoTの“OS”を目指すシーメンス「Mindsphere」

 シーメンスが展開する「Mindsphere」は、2016年にサービスを開始した産業用IoTプラットフォームである。「オープン」「コネクティビティ(接続性)」「スケーラビリティ(拡張性)」を重視しており、600以上のパートナーが参加して、エコシステムを構築していることが特徴だ。クラウドプラットフォームとして提供しているが「Mindsphere」そのものはPaaS(Platform as a Service)であり、IaaS(Infrastructure as a Service)領域については、AWSやMicrosoft Azureを活用している(※)

(※)関連記事:産業用IoTのOS目指す「マインドスフィア」の現在地

 シーメンス(日本法人)代表取締役の藤田研一氏は「オムロンとは領域によっては競合する部分もあるが、組めるところは組んでいくのがIoTの世界では必要な考え方だ。Mindsphereはプラットフォームとして展開しており、ここは組むべき領域だと考えている。またプラットフォーマーとして顧客データをシーメンスが勝手に使うということはない。両社でさまざまなサービスを展開することでエンドユーザーの価値につなげる」と考えを述べている。

photo シーメンスのMindsphereの展開(クリックで拡大)出典:シーメンス

 今回はオムロンがこの「Mindsphere」のグローバルパートナーに加わり「Mindsphere」を活用した複数拠点間でのデータ活用の実証実験を行う。

生産性を60%改善した加工機の自動制御を複数拠点に展開

 今回の実証実験では、「i-BELT」サービスを既に活用しているオムロン草津工場の、加工機自動制御のデータを複数拠点で活用するというものだ。草津工場での「i-BELT」の事例は、マシニングセンタによる金型加工の自動制御である。「i-BELT」を活用し、従来は作業者の五感で判断していた小径工具の加工条件設定を自動化した。加工用の治具に振動センサーを取り付け、振動データをオムロンのPLCである「NJコントローラー」に取り込む。その振動データの特徴量を分析し、加工条件が厳し過ぎる時や工具摩耗の予兆を検知すると、NJコントローラーが加工条件を自動的に最適化するという仕組みである。これにより実証段階でも約40%の生産性改善を実現。その後2年間で取り組み品種を50種類にまで広げた他、生産性も60%改善まで高めることができたという(※)

(※)関連記事:AIで金型加工を自動制御、熟練工のノウハウを注入し加工時間を40%削減

 現在は草津工場の1台のマシニングセンタで行っている取り組みを、まず九州でのグループ関係会社の製造業拠点と結んで実施する。そのための一元的なデータ基盤として「Mindsphere」を活用する。

 実証で確認したい点について、オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 企画室 IoTプロジェクト本部長 井上宏之氏は「主に2つの点を確認し最適な活用方法を導き出したいと考えている。1つ目が現場レベルデータが増大し続ける中で、どのデータは現場で持つべきで、どのデータはクラウドを活用すべきなのかというその最適な切り分けである。もう1つが、分析における現場とクラウドの最適な役割分割である。時間をかけて分析する静的な分析とすぐに結論が必要な動的な分析について、どういう領域までを現場で行うのかというのを見極めたい」と話している。

photo 実証実験の枠組み(クリックで拡大)出典:シーメンス

オムロンがMindsphereを進んで売るということはない

 実証については、オムロンとシーメンスで協力して進めるものの、これらの関係性は固定的なものではないとする。山本氏は「オムロンがMindsphereを担いで売るということはない。あくまでもクラウド基盤の選定をするのは顧客企業である。顧客企業の要望に応じてあらゆるクラウドプラットフォームと連携できるようにしている」と語っている。

 オムロンとMindsphereとの接続試験は2018年末から開始。草津工場での実証実験は2019年11月から既に開始しているという。今後に向けては「まずは2020年4月までに九州拠点との連携についての試験結果を見定め、2020年度は海外も含めてさらなる多拠点での展開を進めていく方針である」とオムロンの山本氏は述べている。実証が進めば、データを収集するマシニングセンタも増え「データ活用における精度も加速度的に高まる。こうした効果がどう出るかも見ていきたい」(山本氏)としている。最終的に2021年度の製品化を目指しているという。

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