アメリカのベンチャー企業よりナノピペット技術を獲得:医療機器ニュース
横河電機は、アメリカのベンチャー企業バイオスティンガーより、バイオ研究分野では最小クラスとなるナノピペット技術を獲得した。細胞への外来物質の直接注入や、細胞内物質の採取が可能となる。
横河電機は2019年11月12日、米カリフォルニア大学サンタクルーズ校発のベンチャー企業バイオスティンガーより、バイオ研究分野では最小クラスとなるナノピペット技術を獲得したと発表した。
この技術は、ナノレベルの先端口径を持つピペットに、電気化学現象を応用した微小ポンプを組み合わせたマニピュレーターとなる。特定細胞の目的箇所へ遺伝子や薬剤などの外来物質を直接注入したり、目的の細胞内物質を採取することが可能になる。細胞に対して低侵襲のため、細胞や細胞小器官、細胞質が生きたまま解析できる。
疾患発症メカニズムの解明や創薬の研究開発では、薬剤を細胞内部へ注入して反応を調査するというニーズがある。また、特定の細胞形態や、位置情報と細胞内部の情報を同時に明らかにすることは、病因・病態の解明、創薬の開発に有効な可能性がある。しかし、細胞集団から特定細胞の位置情報を取得すること、その細胞を1細胞単位で採取することは同時に行えなかった。
同社は、2014年から1細胞解析ソリューションの開発を進めている。今後は、マイクロピペットを採用したサンプリング装置の開発に取り組み、今回獲得したナノピペットを中核とするマニピュレーターの製品化を目指すとしている。
- 表面実装機の技術で細胞を1個1個より分け、効率的な抗体作製の実現へ
ヤマハ発動機は2018年8月31日、東京都内で会見を開きバイオベンチャーのイーベックに5億円を出資すると発表した。ヤマハ発動機が医療分野のベンチャー企業に投資するのは今回が初めてとなる。ヤマハ発動機は中期経営計画で成長戦略の1つとして掲げる「ソリューションビジネスへの挑戦」を加速させる。イーベックに対するヤマハ発動機の出資比率は23%で、筆頭株主となる。
- 再生医療に活用できるiPS細胞大量自動培養装置を製品化
日立製作所は、iPS細胞大量自動培養装置「iACE2」を製品化した。完全閉鎖系の流路モジュールを用いて、再生医療に使用するiPS細胞を無菌環境で播種(はしゅ)、培養、観察でき、品質の高い細胞を安定的に供給する。
- 世界初、iPS細胞を用いた角膜移植に成功
大阪大学は、ヒトiPS細胞由来の角膜上皮細胞シートを重度の角膜上皮幹細胞疲弊症患者1人に移植したと発表した。iPS細胞を用いた角膜再生の臨床研究は世界初となる。
- ヒトiPS細胞由来の網膜色素上皮細胞シートの自動培養に成功
日立製作所と理化学研究所は、ヒトiPS細胞由来の網膜色素上皮のシート状組織「RPE細胞シート」を自動培養することに成功した。再生医療用細胞の品質が均一化し、量産による細胞の安定供給が可能になるため、再生医療の普及に貢献する。
- 細胞が移動する方向を予測するAIを開発、がんの予後診断に期待
慶應義塾大学は、現在の細胞の画像から、細胞がどの方向に移動するかを予測できるAIを開発した。がんの予後診断など、未来の予測が強く要求される医療分野への応用が期待される。
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