このように、インテグレーション、オートメーション、シミュレーションの観点から未来の設計について語ってきたバッシ氏は、これらを実現するには全てがつながったCPSの世界を意識しなければならないとし、「従来のプロダクト思考からプラットフォーム思考へと考え方を変革する必要がある」(バッシ氏)と来場者に訴え掛けた。
ここでいう“プラットフォーム”とは、ダッソー・システムズが提唱する「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を中心としたものと捉えることができる。
前置きとしてバッシ氏は「SOLIDWORKSデスクトップのポートフォリオを含めてプラットフォームと位置付けている。最新の『SOLIDWORKS 2020』ではパフォーマンスや信頼性が大幅に向上している。デスクトップへの投資は今後も継続的に行う方針だ」とデスクトップ版ユーザーへの配慮をしながらも、“新たなデザインエクスペリエンスの世界”として、デスクトップとクラウドがシームレスに統合する新戦略「3DEXPERIENCE.WORKS」について紹介した。
3DEXPERIENCE.WORKS戦略は、米国で開催されたSOLIDWORKS WORLD 2019で初めて発表されたもので、SOLIDWORKSデスクトップからクラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームを介して、ダッソー・システムズのソリューションの一部を活用できるものだ。“.WORKS”と拡張子の付いた戦略名称からも分かる通り、「SOLIDWORKSのDNAを継承したアプローチだ」(バッシ氏)とし、SOLIDWORKSと同じくメインストリーム向けに展開する意向が示されている。
具体的には、現在、製造工程ソリューションの「DELMIAWORKS(旧:IQMS)」、シミュレーションの「SIMULIAWORKS」、プランニングの「ENOVIAWORKS」をラインアップ。バッシ氏は「SOLIDWORKSのシスターブランド(ダッソー・システムズのソリューション)の中から、設計の世界で役立つであろう機能や製品を厳選し、それらをSOLIDWORKSのポートフォリオの一部として取り込むために、“WORKS”という名称を付けて展開する」と説明する。なお、同社によると、SIMULIAWORKSとENOVIAWORKSに関しては米国内での展開が既にスタートしている状態(DELMIAWORKSはまだ)だが、日本での展開時期は「現時点で未定」(同社)だという。
3DEXPERIENCE.WORKSは、クラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームで実現する「ビジネスイノベーション層」と「インダストリーイノベーション層」からなり、その上にSOLIDWORKSを含むWORKS製品が並ぶ。「一番下のビジネスイノベーション層はプロジェクトメンバーのコミュニケーションを支える、いわばFacebookのような役割を担うレイヤーで、その上のインダストリーイノベーション層は各アプリケーションでやりとりされるデータを一元管理する共通言語的なレイヤーとして機能する。これらレイヤーの上に、各WORKS製品が統合された形で機能を提供する」(バッシ氏)。
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