以下は、ドイツの研究機関であるHamburgische Schiffbau-Versuchsanstalt(HSVA)によるポツダムプロペラのモデル(VP1304)だ。
このモデルを用いて、角柱と四面体のハイブリッド、六面体と四面体のハイブリッド、オーバーセットの3つの格子生成手法から、より簡単かつ正確に結果が得られるものを評価した。Matus氏が最も効率的だと評価したのは、六面体と四面体のハイブリッドメッシュだ。
セル数の削減と境界に対する六面体の配置の仕方は、シミュレーション時間の短縮と精度向上に寄与する。オーバーセットは3つの手法の中で最も非効率である一方、複雑な移動体のシミュレーションやジオメトリの変更に向いていると評価した。
以下の風力発電設備の例は、コンフォーマルハイブリッドメッシングの利点について示したものだ。オーバーセットと比較して補完エラーが起こりづらく、従来のマルチブロックの手法と比較してメッシュ作成時間が短縮できるという。また、流れが乱れやすいところはメッシュを細やかにするなど、任意の領域別/異なったメッシュサイズ間でもコントロールが可能である。
以下は、地面のデータに風車を配置してメッシュを切った様子を示したものだ。
地面と風車のように、メッシュサイズの大きさが異なるモデルでも領域を分けながら効率的かつ素早くメッシュを切ることが可能。Pointwiseでは、このように複数のブロックを自動で配置できる。
Matus氏は、カナダのコングロマリッドであるBombardier(ボンバルディア)の航空事業における事例についても触れた。同社は、Pointwiseと自動メッシュ生成システム「Glyph」を活用し、オブジェクト指向のメッシュ生成専用サーバ「MARS」(Meshing & Adaptive Re-meshing Server)を開発した。3D CAD、最適化ツール、HPCの中でプロセスを回しながらメッシュを自動生成する仕組みだ。
ただし、現状の同社のHPCリソースではメッシュ収束について、まだ実用的ではなく、CADとの相互運用においては課題が残るとしている。
MARSは自動処理ながら柔軟性が高く、安定したメッシュ生成が可能。また、精度を向上させながらも、メッシュ生成時間を大幅に短縮できたという。さらに、ユーザーがベストプラクティスに基づいたテンプレートを整備することが可能な仕組みも備えているとのことだ。
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