メッシュ生成時間の短縮と品質向上を両立、CFD用メッシュ生成ソフトの最新版CAEニュース(1/2 ページ)

ヴァイナスは流体解析向けメッシュ生成ソフトウェア「Pointwise V18」の国内販売を開始。Pointwise 上級副社長のDr. Richard J. Matus氏が最新版の活用メリットについて紹介した。

» 2019年11月06日 13時00分 公開
[小林由美MONOist]

 ヴァイナスは2019年10月17日、流体解析向けメッシュ生成ソフトウェア「Pointwise V18」(開発元:米Pointwise)の国内販売を開始した。Pointwise V18の販売価格は、年間ライセンス料金が235万円(税別)、永久ライセンス料金が525万円(税別)。最新版の「V18.3」は同年10月23日から提供されている。

 Pointwiseは、さまざまなメッシュ生成および制御手法を備え、数億要素規模のメッシュ生成に対応できる。3D CADのネイティブデータの読み込みも標準で行える。また、オープンソースのCFDソルバ「OpenFOAM」へのメッシュデータ出力が可能。スクリプトによる自動メッシュ生成機能も搭載する。

 「V18.3」では、非構造六面体(ヘキサ)要素をベースとしたメッシュ「Hex-Core」を実装する。境界層メッシュ自動生成機能「T-Rex」と組み合わせて利用可能で、六面体の解像度を段階的に変更できる。

Hex-Coreのメッシュ生成の例(出典:ヴァイナス) Hex-Coreのメッシュ生成の例(出典:ヴァイナス)

 他には「Automatic Distribution」(自動配布)が追加され、ジオメトリの曲率やSourceエンティティにより調整された格子点分布の設定が可能となった。円筒のSourceエンティティの領域では、Sourceエンティティに指定したサイズの格子点分布に設定される。

 2D T-Rexで設定する押し出し高さは角度指定が行えるようになった。曲率の変化が大きい面に対してメッシュを制御することも可能だ。さらに「Sync Spacing」機能を2D T-Rexにも拡張。2D T-Rexを適用したコネクターに接続するグリッド間隔を自動調整し、メッシュ品質を高めることもできる。

メッシュ生成時間が高速に

 Pointwise V18の特長としては、メッシュ生成時間を大幅に短縮しながら、メッシュ品質も向上させている点が挙げられるという。

 Pointwise 上級副社長のDr. Richard J. Matus氏は、CFDにおけるメッシュトポロジーの最適化の評価について解説。メッシュの切り方が、手作業にかかる時間、コンピュータの利用時間、計算の収束、精度などに大きく左右することを示した。

Pointwise 上級副社長のDr. Richard J. Matus氏 Pointwise 上級副社長のDr. Richard J. Matus氏

 まず、Matus氏は航空機における翼のテストモデルの1つである「ONERA M6 Wing」の例を紹介した。この翼モデルのメッシュ分割において、従来の六面体構造格子とT-Rexのハイブリッド四面体のメッシュ、そしてT-Rexの新機能であるハイブリッドボクセルとで比較した。

3つの手法とメッシュ(出典:ヴァイナス) 3つの手法とメッシュ(出典:ヴァイナス)

 従来の六面体のみの構造格子分割では、6ブロックに分割し、セル数は325万520。メッシュ作成は完全手作業で3.5時間かかっていた。これに対して、T-Rexのハイブリッドメッシュの場合、分割数は1ブロックのみで、167万6737セルにとどまった。こちらは四面体に六面体、角錐(かくすい)や角柱を含んでいる、手作業の場合は0.6時間、さらに自動処理であれば0.2時間と大幅に短縮できる。一方、ハイブリッドボクセルでは3ブロックの分割で、166万2902セル。こちらも、四面体、六面体、角錐、角柱を含んでいる。手作業の場合が0.6時間、自動処理の場合は0.1時間にまで短縮できるという。

ハイブリッドボクセルによるメッシュ生成(出典:ヴァイナス) ハイブリッドボクセルによるメッシュ生成(出典:ヴァイナス)
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