Cheetahは、宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙科学研究所が開発した、大域的な最適化手法である。この実証では設計パラメータを遺伝情報として進化計算を実施した。第1世代はL36直行表と応答曲面法を用いて54個体の中から選定した。
この実証では、機械学習によるニューラルネットワーク(脳機能の特性を模した数理的モデル)にシミュレーション結果を取り込み、設計変数とΔCDの関連性を学習させている。
実際には、全部で12世代まで最適化計算を実行し、そのうちの1〜6世代までを学習データとしてニューラルネットワークに学習させる。さらにニューラルネットワークを用いて、7〜12世代まで計算した結果をシミュレーション結果と比較して評価した。
1〜6世代までのデータを学習させて7世代目の形状を予測させても、形状にそれほど大きな変化は見られない。それ以降、世代が進んでいくごとにどんどん形が変わっていく。シミュレーション結果と比較して著しく精度が落ちるということはなく、おおむね良好な結果ではあったものの、学習のさせ方にまだ課題があるとのことだ。
Cheetahでの最適化計算の可視化においては「iDIOS」を活用した。
設計変数からの予測の他、“エンジニアの知見”であるフィジクスの検証も行っている。ここでは、DMD(Dynamic Mode Decomposition:動的モード分解)に対応したソフトウェア「FBasis」を用いた。同ソフトは、JAXAが開発を行ったもので、シミュレーションの経験やノウハウを持たない設計者でも、製品性能を左右する流れの特徴的構造を機械学習処理により自動抽出可能であるという。
以下の図8の例では、ケースAとケースBと2種類の車両形状について、全計算データからCL値のRMSを算出し、特徴的な固体に対してDMD計算をしている。可視化されたデータに基づいて、複数の形状データに共通する流れ構造を抽出していく。
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