東芝は、膨大な組み合わせパターンの最適化を行うための「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」専用の大規模並列処理回路を開発した。金融取引や産業用ロボットなどの分野にSBアルゴリズムを適用することが可能となる。
東芝は2019年9月11日、膨大な組み合わせパターンの最適化を行うための「シミュレーテッド分岐アルゴリズム(SBアルゴリズム)」専用の大規模並列処理回路を開発したと発表した。同回路を搭載することで、金融取引や産業用ロボットなど、高速で良解を選び、反応することが必要な分野に、SBアルゴリズムを適用可能となる。
今回開発された回路は、専用でSBアルゴリズムをハードウェア処理する。空間並列化と時間並列化の回路手法により設計された大規模並列処理回路で、SBアルゴリズムに含まれる演算のうち同時刻に実行可能な演算を解析した結果に基づいている。
クロックサイクルごと、1ビットデータごとの最も細かいレベルでの回路最適化を施し、高速処理性能と省電力性能を両立した。
汎用プロセッサ上のソフトウェア処理の制御を必要とせず、0.001秒未満レベルで外部環境の変化を検知し、膨大な選択肢の中から良解を選ぶことが可能な瞬時最適応答システムを構築できる。
本回路は、冷凍機などの特殊な付帯設備なしに市販の再構成可能論理回路(FPGA)に実装可能だ。20nm世代のFPGAに実装した場合、従来同社が発表したFPGAの組み合わせ最適化問題を扱えるサイズと比べて4倍、速度では11倍、エネルギー効率では26倍の成果が得られた。
同社は今後、本回路を応用した実験機の研究開発を進め、2019年中の発表を目指すという。
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