工場セキュリティで成長目指すMoxa、トレンドマイクロとの協業製品は2020年初投入産業制御システムのセキュリティ

産業用ネットワーク技術などを展開する台湾のMoxaは、工場セキュリティを切り口とし、日本向けの提案を強化する。トレンドマイクロとの協業などを生かし、より簡単で便利な工場のセキュリティ対策を訴求する方針である。

» 2019年09月27日 08時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 産業用ネットワーク技術などを展開する台湾のMoxaは、工場セキュリティを切り口とし、日本向けの提案を強化する。トレンドマイクロとの協業などを生かし、より簡単で便利な工場のセキュリティ対策を訴求する方針である。

 Moxaは1987年に創業した産業用ネットワーク関連機器のグローバル企業である。産業用イーサネットスイッチではアジアでトップシェアを握るという。ただ、日本市場に対しては、鉄道向けネットワーク機器では着実な実績を上げているものの、FA向けネットワーク機器では、一部の代理店を通じた展開に限定され、グローバルほどのシェアを築けていない状況があった。

 ただ、IoT(モノのインターネット)の活用が進み、工場のスマート化への関心が高まる中で、日本市場に向けてあらためて取り組みを強化する。その切り口として訴えるのが、工場セキュリティである。

 従来の工場ではネットワーク活用が進んでいないために、サイバー攻撃に対しては「安全だ」と考えられてきた。しかし、サイバー攻撃そのものが巧妙化する一方で、スマート化の流れの中で工場がインターネット接続を行うようになり、攻撃をいつ受けておかしくない環境が生まれている。さらに、工場の運用を妨げない形でのセキュリティ対策はまだ十分なソリューションが出そろっておらず、各社が試行錯誤を重ねながら取り組みを進めている状況である(※)

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photo Moxa アジア営業本部 日本営業部 IIoT事業開発マネージャの長澤宣和氏

 こうした状況に対し、Moxaでは工場向けのセキュリティ対策の指針となる「IEC62443」を基にした提案を強化。「IEC62443」では、全体像を示した「IEC62443-1」、ポリシーや手順を示した「IEC62443-2」、システムを示した「IEC62443-3」、コンポーネントを示した「IEC62443-4」という形に細かく分かれているが「個々のコンポーネントからネットワークシステムまでスマート工場における全領域をカバーできる点が強みだ。工場のネットワーク全体をネットワーク構成図などを作成して提案することもできる一方で、製造現場にとって負担の少ないIEC62443対応ネットワークスイッチなども用意できる」とMoxa アジア営業本部 日本営業部 IIoT事業開発マネージャの長澤宣和氏は語る。

 Moxaが国内の工場セキュリティ向けで期待を寄せるのが、トレンドマイクロとの協業製品の展開である。Moxaとトレンドマイクロは2018年11月に協業し合弁会社「TXOne Networks」を設立(※)。産業制御システムとして求められる機能を備えた製品群の開発を進めている。

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 この合弁会社による製品展開は2020年初めに開始する計画で「同製品群が工場セキュリティの展開の軸になると考えている」と長澤氏は語っている。これらに伴いパートナーの拡大やトレーニングの強化など準備を進めているところだという。

 また、今後はトレンドマイクロとの協業だけではなく、その他のパートナーも拡張し日本における安全なスマートファクトリー実現に力を注ぐ。1つとしてCC-Link協会が新規格として普及拡大を進める「CC-Link IE TSN」に対応したネットワークスイッチの準備を進めているという(※)。「TSNへの期待は高く、いち早く対応を進めていく」(長澤氏)。

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 これらの取り組みにより、日本市場でのFA製品の販売を拡大していく方針だ。「2020年をめどに日本法人の設立を目指している。その後2022年までの3年間で年間平均成長率30%以上の成長を目指している」と長澤氏は語っている。

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