産業用IoTを一歩前に、トレンドマイクロとMoxaが合弁会社設立ET2018

産業用ネットワーク技術などを展開する台湾のMoxaは「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」のマイクロソフトブース内に出展し、同社機器を使い、遠隔稼働監視ソリューションを提案した。また、2018年11月15日に発表したトレンドマイクロとの合弁会社設立などについても紹介した。

» 2018年11月20日 14時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 産業用ネットワーク技術などを展開する台湾のMoxaは、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」(2018年11月14〜16日、パシフィコ横浜)のマイクロソフトブース内に出展し、同社機器を使い、汎用技術を組み合わせて簡単に実現できる機械の遠隔稼働監視ソリューションを提案した。また、2018年11月15日に発表したトレンドマイクロとの合弁会社設立などについても紹介した。

photo Moxaが出展した遠隔監視のデモ用機器。機器の一番右側がIoTゲートウェイの「UC-8100」、中央がIOロジック「E1242」、フィールドゲートウェイ「MB3170」(クリックで拡大)

汎用技術を活用した遠隔監視ソリューション

 Moxaは1987年に創業した産業用ネットワーク関連機器の製造企業で、産業用IoT向けでもさまざまな製品展開を進めている。マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」との円滑な接続を実現する「Azure Industrial IoT Edge Gateway Program」の認証機器なども展開する。

 ET2018では、同プログラムの認証機器であるIoTゲートウェイの「UC-8100」と、IOロジック「E1242」、フィールドゲートウェイ「MB3170」を組み合わせ、機械の遠隔監視ソリューションを提案した。「MB3170」を通じて得たモーター電流の情報を「UC-8100」を通じてシームレスにAzureに蓄積。一方で機器のステータスは「E1242」経由でOPC UAで通信しSCADAなどで表示することを想定している。

 会場では、リアルタイムでモーターの電流値を変動させ、その様子をモニタリングし、異常値に達した場合にアラートを出すというデモを行った。MoxaセールスリージョナルリプレゼンティティブのLeo Lin(レオ・リン)氏は「数年前に比べて具体的な話が増えてきている。目的や価格帯など、ユーザー側の意図がはっきりしてきている」と手応えについて述べている。

photo 遠隔監視のデモの様子。モーターの電流値が異常に達するとアラートを発信する(クリックで拡大)出典:Moxa

トレンドマイクロと合弁会社を設立

 Moxaは2018年11月15日に、トレンドマイクロと産業用IoTセキュリティに関する合弁会社「TXOne Networks」を設立したことも発表。トレンドマイクロとMoxaでは2018年9月に産業用IoTの保護ソリューション共同開発を目的とする提携を発表しており、今回の合弁会社設立はこれをさらに進めたものとなる。

 セキュリティの専門企業であるトレンドマイクロの強みと産業用ネットワークとハードウェア技術などに強みを持つMoxaの強みを組み合わせることで、IT(情報技術)とOT(制御技術)の両方の知見や、デバイスからプロトコルまでの幅広い領域のセキュリティ技術が必要な、産業用IoTのセキュリティニーズに対応していく方針だという。

 また、販売チャネルについても相互補完の関係にある。トレンドマイクロはITチャネルパートナーに関する強みを、MoxaはOTチャネルパートナーに関する強みを用いて、組み合わせることで販売拡大を進めていく方針だとしている。

 リン氏は「スマート工場などにおけるセキュリティニーズは間違いなく高まっている。これらに対応できる利便性の高いソリューションを提案できるようにしていく」と方向性について述べている。

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