三菱電機は、「プレス・板金・フォーミング展 MF-Tokyo2019」(2019年7月31日〜8月3日、東京ビッグサイト)において、AI搭載で“止まらない”レーザー加工機と自動仕分けシステムを紹介。個々の機器にとどまらない、総合的な生産性向上を訴えた。
三菱電機は、「プレス・板金・フォーミング展 MF-Tokyo2019」(2019年7月31日〜8月3日、東京ビッグサイト)において、AI搭載で“止まらない”レーザー加工機と自動仕分けシステムを紹介。個々の機器にとどまらない、総合的な生産性向上を訴えた。
今回のMF-Tokyo2019で中心製品の1つとして紹介したのが、AI機能を搭載したファイバー2次元レーザー加工機「GX-F」シリーズである。
GX-Fシリーズは2019年4月に発売。同社のAI技術「Maisart」を用いて、レーザー加工機の加工条件を自動調整する機能「AIアシスト」を搭載。連続自動運転の加工安定性を向上させ、とにかく“止まらない”ための機能を充実させているという点が特徴である。
具体的には、ノズルに設置したセンサーにより、光と音で加工状況をセンシングする。AIを活用してこれらのデータを分析し、加工条件に対する異常を把握する。異常を検知すると、まず原因として最も多いノズルの異常を確認する。ここでノズルに異常が認められた場合は、自動でノズルを交換する。異常が認められなかった場合は、加工条件を自動で緩めに設定変更し、加工を再開する、という流れである。素材や加工条件に応じた学習モデルはあらかじめ作っておき、それをレーザー加工機内に実装する。新たなメーカー素材などの条件に合わせた学習モデルは三菱電機が適宜作成しバージョンアップなどに合わせて提供する形となる。
三菱電機 FAシステム事業本部 メカトロ事業推進部 メカトロ戦略グループ レーザ加工機ビジネス統括の岸田直也氏は「夜間に自動加工をセットして帰るような使い方も多いが、その際に異常が出て止まると、大きく作業が遅れることになる。そこでまずは“止めない”ということを重視して開発を進めた。一度止まった場合は、加工条件も自動で緩めの条件に変更するため、生産効率はやや落ちるかもしれないが、“作業員がいない中で止まる”という状況が最もマイナスとなるので、そうした状況を起こさないことを考えた」と述べている。
また、今回新たに三菱電機が独自で開発したファイバーレーザー発振器を採用したことで、メンテナンスやサービスなどで新たな価値を発揮できるようになったという。「従来のファイバーレーザー発振器は他社製のものを採用していたが、サービスマンなどがメンテナンスを行う時に三菱電機だけでは行えず、不便をかける状況なども生まれていた。今回レーザー発振器も三菱電機製でカバーできるようになったことにより、1人のサービスマンが総合的にメンテナスできるようになった」と岸田氏は価値を訴えている。
その他、IoT(モノのインターネット)を活用した同社のリモートサービス「iQ Care Remote4U」により、遠隔から発振器の稼働監視、予防保全が可能になったとしている。岸田氏は「ファイバーレーザー加工機は、加工精度や品質などでは大きな差別化が難しい状況が生まれている。その意味で、AIなどのデジタル技術を活用することで、ユーザーが総合的に業務プロセスを改善するために必要なものを、提案していく必要がある」と述べている。
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