こう来たか! という興味深いサービスが登場しました。
この記事は、2019年7月30日発行の「メカ設計 メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
3Dプリンタ、とりわけ産業用3Dプリンタ活用におけるハードルといえば、「コスト」「(使いこなすための)技術」「発想力」の3つがよく挙げられると思います。
コストに関しては、産業用3Dプリンタそのものが高額であるというのはもちろんですが、付帯設備の購入費や材料費、保守サポート費、人件費、そして専任者を育成するための教育コストなども必要になります。また、産業用3Dプリンタの場合、設置場所も限られており、新たにスペースを確保したり、床などの補強工事を行ったりとかなり大掛かりな準備が必要となり、当然その負担が大きくのしかかってきます。
次が技術です。最近は装置そのものだけでなく、関連するソフトウェアの使い勝手も向上していますが、3Dデータを作成するスキル、材料に関する知識、うまく造形するためのサポートの付け方や設定に関するノウハウなど、まだまだ専門的な知識が問われます。装置を使いこなすための技術という意味では、人材を教育したり、外部からヘッドハンティングしたりして、3Dプリンタの専任者を配置することでその不足を補うことも可能ですが、3Dデータを作成する技術については、設計者自身がこれまでの製造、加工方式に捉われない、3Dプリンタによる造形に適した設計ができるようにならないといけません(ここは後述の発想力にも通じる部分ですが)。
また、装置を使いこなすための技術に含まれるのかもしれませんが、工場の中の設備として3Dプリンタを安定稼働させる必要もあります。当然、装置メーカーの保守サポートを契約しているとは思いますが、専任者の仕事として、装置の日常的なメンテナンスや異常時の初動対応など、最低限の保守に関する技術も求められるでしょう。
そして、発想力です。先ほども触れたように、今後はより一層3Dプリンタに適した設計が求められるでしょう。最近はシミュレーションやAI(人工知能)を活用した形状最適化の機能(ジェネレーティブデザイン)が3D CADに搭載されるようになり、ある種トレンドになりつつありますが、軽量化や材料コスト削減といった観点からもその傾向はますます強くなると思われます。実際、自動車や航空機などで、形状最適化が施された3Dプリンタ製パーツが採用されるケースも増えています。製造装置として3Dプリンタがさらに普及していくことを考えると、既成概念に捉われない3Dプリンタならではの形状をどう生み出すか(生み出せるか)も重要なポイントかと思います。
このように、なかなかハードルの高い産業用3Dプリンタ活用ですが、最近面白いサービスが発表されました。
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