運用受託サービスでは、ユーザーが購入した3Dプリンタの管理、運用、保守の全てを年間固定費(年間300万円、月々25万円)と材料費のみで代行してくれる「まるごとおまかせサービス」を提供開始する(2019年10月めど)。導入機器はSLS(粉末焼結積層造形)方式の業務用3Dプリンタを想定しており、導入初期にかかる環境構築コストなどを大幅削減できることが特長である。
「当社の実績を基に試算した結果、(SLS方式の3Dプリンタの場合)初年度のイニシャルおよびランニングコストは、装置、材料、保守費を除いて1台当たり2500万円程度かかることが分かった。その内訳は、人件費、付帯設備、環境構築などだ」(川岸氏)。まるごとおまかせサービスは、この部分を年間300万円(XYZプリンティングのSLS方式3Dプリンタ「MfgPro230 xS」の場合)で全て代行するもので、ユーザーが購入した3Dプリンタは石川県加賀市にある3D製造拠点で厳重に管理され、豊富な経験を持つ専任スタッフがユーザーに代わって運用を支援する。つまり、ユーザー側で担当者を配備したり、設置場所を確保したり、保守運用作業を行ったりする必要がなくなり、ユーザーは利用したいときに造形指示を出すだけで、造形物を後日入手できるというわけだ。
さらに、まるごとおまかせサービスのオプションサービスとして、運用代行している3Dプリンタがメンテナンスなどで使用できない場合に、DMM.comが保有する他の3Dプリンタで代わりに造形する「ダウンタイム0保証」や、運用代行している3Dプリンタの非稼働時間(遊び時間)を買い取り、DMM.comが提供する造形サービスに割り当てる「遊休時間買い取り」なども検討しているという。
今回発表のサービスに関する売上高や利用者数などの目標値は非公表とのことだが、川岸氏は「実用フェーズとしての適切な3Dプリンタ導入ニーズが次第に増えつつある。そういう盛り上がりのタイミングが2021年ごろに来るとみている」と期待を寄せる。
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