流体解析をテーマに、入門者や初学者でも分かりやすくをモットーに、その基礎を詳しく解説する連載。今回は流体解析において最も重要なものの1つで、その選択によって解析結果に影響を与える「乱流モデル」について取り上げる。
前回は「レイノルズ数」について取り上げ、私たちの身近な現象の多くが「乱流」であることを紹介しました。そこで今回は、乱流にフォーカスしたいと思います。
「乱流モデル」は、流体解析において最も重要なものの1つであり、乱流モデルの選択によって、解析結果に誤差が生じる可能性があります。
乱流に付き物なのが「渦」ですが、乱流によりなぜ渦が発生するのでしょうか。その理由の1つは、空気にせよ水にせよ、その流れには“速度差”があるからです。例えば、水道管の中を流れる水も一様な速度で流れているわけではなく、壁際を流れる水は摩擦抵抗を受けて流れが遅くなり、速度差が生じています。
別に水道管を流れる水に限らず、高速移動する飛行機や自動車も目に見えないだけであって、実際は空気とボディーが接触している部分では流れにブレーキがかかり、空気の渦が発生しています。また、速度差が生じる理由はそれだけではなく、気象的な現象に見られるような温度差などもその原因となり得ます。そして、発生した渦は、最終的にどんどん小さくなって最後は熱になってしまうのです。
この乱流の現象を解析するということは、要するに“渦の挙動”を計算することにつながります。以降で、乱流の現象を解析する方法について紹介します。
乱流の現象を解析する手法ですが、その計算には大きく分けて3つの方法が知られています。それらを計算負荷のかかるもの順に並べると、
になります(『乱流の数値計算法』というキーワードで調べてみると、他にもいろいろと出てきてちょっと頭がクラクラしてきます。そのため、ここでは一般的な説明に出てくるこの3つで解説を進めます)。
もっとも、普段使用している商用プログラムの場合、一般に搭載されているのは後者の2つ、つまり「LES」と「RANS」(のさまざまなモデル)だと思います。
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