続いての改正ポイントは、関連意匠制度の拡充だ。関連意匠とは、同じ出願人がある意匠とそれに類似する意匠を“互いに類似関係があること”を認めた上で登録できるもの。意匠が類似するとは、すなわち意匠の権利範囲が及ぶことを意味するため、類似するものと判断されるか否かは非常に重要となる。「最初に販売したモノで意匠登録し、その後、市場ニーズなどを反映しながらデザインを改編していくことはよくある。関連意匠制度は、意匠の権利範囲を広げるという意味でブランド形成にも役立ち、非常に便利なものであるが問題点もあった」と布施氏は説明する。
その問題点とは、
である。
これまで、本意匠の出願後、本意匠の公報が発行されるまでの約1年の間でしか関連意匠の出願ができなかった。また、関連意匠に類似する別の関連意匠の出願がそもそも不可能であったため、デザインコンセプトを継承しながらのデザイン改編を行う際、それらを1群のファミリー(バリエーション)として意匠登録することができなかった。
「今回の改正では、本意匠の出願後から10年間、関連意匠の出願ができるようになり、さらに関連意匠にのみ類似する意匠の登録も可能になった。これにより1つのコンセプトをベースとしたバリエーション意匠の登録が行いやすくなる。権利者にとっては他社が入り込みにくい状況が作れるため、ブランド形成にも有効に働く。関連意匠制度の拡充による効果は大きいだろう」(布施氏)。
さらに、意匠権の存続期間の延長が図られる。これまで登録日から20年間だったものが、改正後は出願日から25年間となる。この改正により、ロングライフ製品の保護がより強化され、製品デザインが醸成するブランド力の向上に寄与できるという。「出願から登録までが約1年弱かかるので、実質4年間くらい権利期間が延長されることになるだろう。諸外国と比べてもトップクラスに長い存続期間になる」と布施氏は補足する。
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