クラボウは2019年5月28〜29日、都内で開発商品や新たな取り組みを提案する「2020クラボウグループ繊維展」を開催。「ヒューマン・フレンドリー発想 〜人にやさしく、地球にやさしく〜」をテーマとし、新規開発素材や新規サービスなどを出展した。後編は、「モノ」から「コト」へのサービスビジネス化を実現するシャツ型スマート衣料「Smartfit for work」を紹介する。
クラボウは2019年5月28〜29日、都内で開発商品や新たな取り組みを提案する「2020クラボウグループ繊維展」を開催。「ヒューマン・フレンドリー発想 〜人にやさしく、地球にやさしく〜」をテーマとし、新規開発素材や新規サービスなどを紹介した。
前編ではクラボウグループが取り組むスマートファクトリーへの取り組みを解説したが、後編は「モノ」から「コト」へのサービスビジネス化を実現するシャツ型スマート衣料による「Smartfit for work」への取り組みを紹介する。
シャツ型スマート衣料「スマートフィット」は、導電性繊維と生体センサーを用いて、着用者の生体情報を取得し、送信できるコンプレッションインナータイプのシャツ型スマート衣料である。信州大学 繊維学部との共同開発により、伸縮性や速乾性に優れた着心地の良さと高精度な生体情報の取得を両立させていることが特徴だ。
開発のきっかけとなったのが「暑熱リスク対策」である。同事業を推進するクラボウ 繊維事業部 事業推進部 副部長の藤尾宜範氏は「現場作業での熱中症などが大きな話題となる中『現場作業における暑熱リスクに対して何かできないか』と考えたのがきっかけとなった」と当時を振り返る。
そこで「作業者の体調の変化をリアルタイムで定量的に把握し、集めたデータを分析することで、暑熱作業による体調悪化を予防する仕組みを考えた」(藤尾氏)。まず情報収集のために開発されたのが「スマートフィット」である。さらに、この「スマートフィット」で集めた心拍数や温度、加速度情報は、胸部の通信デバイスから、Bluetoothによりスマートフォン端末に送信する。その後、スマートフォン端末の通信を使い、クラウドサーバに収集する。収集データに加え、作業地域の気象情報などを組み合わせたアルゴリズムにより、暑熱作業でのリスクをリアルタイムを推定し、通知する。これらの一連の仕組みを「Smartfit for work」として開発し、2018年から受注を開始している。
「多くの職場で温度による労務管理などは行われているが、体調の良しあしの感じ方は個人によって異なる。そもそも暑さに強い人や弱い人がいる他、疲労度やストレスなども関係する。そのため、一律に基準値を決めても事故がなくなるわけではない。事故発生を抑えるためには、個々の情報をリアルタイムで把握し続け、その中で体調が悪くなる兆しを捉える必要性があった。そのためにはリアルタイムで情報を取り続ける仕組みが必要で、これらのデータを個々に分析する仕組みが必要だった」と藤尾氏は「Smartfit for work」の意義について述べている。
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