米中貿易戦争が深刻化……製造業の採用動向はどうなる?MONOist×JOBS 転職市場動向

技術者の転職市場を毎月レポートする「MONOist×JOBS 転職市場動向」。製造業全体の求人件数は前月比3%減、前年同月比15%増でした。また、米中報復関税の応酬が製造業の中途採用に打撃与えているようです。

» 2019年06月06日 09時30分 公開
[MONOist]
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本記事は技術者のための転職サイト
E&M JOBS」からの転載です。



製造業全体の求人件数は前月比3%減

業種別求人件数の前月比増減(E&M JOBSの2019年4月と5月の求人データを基に作成) 業種別求人件数の前月比増減(E&M JOBSの2019年4月と5月の求人データを基に作成)

 最新のE&M JOBSのデータによると、製造業全体の求人件数は前月比3%減、前年同月比15%増でした。

 前月比では、ほとんどの業種で求人件数が横ばいか微減となりました。求人件数が減少傾向となっているのは、世界的な経済の不透明感を背景に、新たな募集を控えたり一時的に求人を取り下げたりする企業が増えているためです。

米中報復関税の応酬が製造業の中途採用に打撃

 米中間で、報復関税の応酬が激しさを増しています。

 2018年7月に米国が中国から輸入している340億ドル相当の製品に25%の追加関税をかけたことで本格化した米中貿易戦争。現在は2500億ドル相当の製品に追加課税がかけられており、自動車や半導体も対象となっています。今後はノートPCやスマートフォンに追加関税がかかる可能性もあり、米中間の貿易抑制はさらに深刻化していく見込みです。

 この影響を受けるのは、国内企業も例外ではありません。日本電産は中国から米国に輸出していたモーターの生産の一部をメキシコに切り替えており、リコーも米国向け複合機の生産を中国からタイに移管すると発表しました。依然として情勢は揺れ動いているため、2019年度の業績がどう着地するか見通しを立てられていない企業も多いのが現状です。

 事業の先行きが不透明なだけに、中途採用にも影響が現れています。求人を取り下げる企業や、求人を出していても「経験やスキルが理想的な人しか採用しない」と採用の間口を狭める企業が増えてきました。反対に、競合が落ち着いているタイミングを狙って人材獲得をしようと積極的に動いている企業もあります。同じような仕事内容の求人でも、企業によって採用の温度感が異なる状態となっています。

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長嶋一樹
技術職専門のコンサルタント。自動車業界や半導体業界の転職支援に豊富な実績があり、異業界からの転職サポートも得意としている。担当企業の訪問を月に2〜6回行っており、情報収集に注力。転職希望者への情報提供に強みを持っている。一児の父。好きなお菓子はアルフォート。

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