「データム」とは何か? をあらためて理解する産機設計者が解説「公差計算・公差解析」(4)(3/3 ページ)

» 2019年06月03日 10時00分 公開
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「基準」の順位について

 この基準の順位について、さらに説明を続けます。

図10 第1次、2次、3次データム形体 図10 第1次、2次、3次データム形体

 では、前述の定盤をイメージしてください。定盤の表面、つまり実用データム形体が最初の基準となり、第1次実用データム形体となります。この第1次実用データム形体に直交し、2番目の基準になる第2次実用データム形体を図10のように設定した場合、定盤に置かれた「直角ブロック」のような面が、第2次実用データム形体となります。ただ、この状態では、第1次実用データム形体と第2次実用データム形体に並進する方向には、自由度は残ったままです。

 さらに、この第1次実用データム形体と第2次実用データム形体に直交する、3番目の基準となる第3次データム形体を設定します。定盤上にさらに直角ブロックを置いたような状態です。これが第3次実用データム形体となり、この3つの面に接触した形体の自由度はなくなります(図11)。

図11 定盤上の測定物の固定 図11 定盤上の測定物の固定

 設計者の頭の中には、姿勢を決めるこのようなイメージがあるはずです。

 データムを決め、姿勢を決めることは、つまり「形体に対しての“曖昧さ”を残さないために、幾何公差を設定する際の基準を設定していること」に他なりません。 (次回に続く

Profile

土橋美博(どばし・よしひろ)

1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)の代表リーダー・事務局も務める。


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