また、基板実装ラインではVAIOが得意とする高密度実装技術の説明があった。同社のフラグシップモデルであるVAIO ZといったハイパフォーマンスPCでは、限られた基板スペースにできる限り多くの部品を実装している。これら実装部品のサイズは長辺30mmを超えるパッケージのCPUから0603(0.6×0.3mm)のチップコンデンサまで千差万別だ。「性能と基板の小型軽量化を両立させるためにいろいろなサイズの部品を混載するが、サイズが異なる部品を高密度に実装するのは非常に難しいこと」と同社担当者は解説する。こういった課題をひとつひとつ設計、製造の両面から解決していった結果、同社の実装技術が培われたという。
Nile-T19はこれらの技術を活用し、生産が進められている。同製品は大きく分けてコントロールユニット、散布ユニット、フレームの3部品で構成される。それぞれの部品はNile-T19生産専用エリアで前加工された後、フレームへの組みつけ工程へ移る。フレームのワイヤリングや最終組み立ては「作業難易度が非常に高い」(同社担当者)ため1機あたり2人体制で行うとし、「相互確認で品質も担保できる」という。こうして完成したNile-T19は散布試験、飛行試験を行った後に梱包される。
Nile-T19の生産は2019年度に100機を予定する。ナイルワークスは2020年度に500機、2021年度には2000機の増産計画を立てており、インド市場を始めとして海外展開をにらむ。
VAIO社長の吉田秀俊氏はEMS事業について「技術力のある安曇野工場を生かすには最適な事業。事業の核はロボット分野だが、ドローンなど時流に乗ったものもわれわれの知見を高めるためにやっていきたい」と述べ、「今後3〜5年間で3〜4倍の事業成長を目指す」としている。
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