日本科学未来館は、常設展メディアラボ第21期展示「ぴったりファクトリ」(会期:2019年5月16日〜9月1日)の開催に関する記者説明会を開催した。
日本科学未来館は2019年5月16日、常設展メディアラボ第21期展示「ぴったりファクトリ」(会期:同年5月16日〜9月1日)の開催に関する記者説明会を開催した。
同展は「モノが人に合わせる未来社会」をコンセプトに掲げ、3Dプリンタをはじめとする「デジタルファブリケーション技術」と、個人の感性を測定する「感性定量化技術」の2つの研究開発成果を紹介する。自分の好みや感性を深く理解し、そうした個人の要求にぴったりと見合うモノをデジタル技術で製造することで、個人の課題解決やクリエイティブな日常の創出につなげることを狙う。
説明会では、同展の出展者である科学技術振興機構(JST) センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」の田中浩也氏(慶応義塾大学 環境情報学部 教授)と長田典子氏(関西学院大学 理工学部 教授)が登壇し、それぞれの取り組み内容と同展での展示内容を紹介した。
展示の構成は、課題を解決するモノづくりおよびぴったりを作る最新3Dプリンタを展示する「ゾーン1.『ぴったり』をつくる」、ぴったりを可視化する実験と触感ぴったり化実験を展示する「ゾーン2.『ぴったり』をさぐる」、そして来館者の意見やアイデアを集める「ゾーン3.あなたの『ぴったり』を教えてください」の3つのエリアに区分されており、実際に展示物に触れたり、実験に参加したりできる。
田中氏が担当するゾーン1の展示では、同氏が長年研究してきた3Dプリンタの研究成果として、食品用3Dプリンタ、ゲルプリンタ、センサー埋め込み装置(Fabricator)を取り上げる。さらに、肌に長時間触れてもかぶれにくい3Dプリント素材「FABRIAL」とその造形サンプルを紹介。また、具体的な「『ぴったり』をつくる」の事例として、ファブラボ品川で作業療法士や当事者らが3Dプリンタを活用して共同製作した便利グッズの数々をずらりと展示する。
一方、長田氏が担当するゾーン2の展示では、感性を数値化して一定の指標を作る「感性の物差し」の研究を紹介。具体的には、来館者がPCの設問に答えて自分の感性(みんなの中から見た自分/自分のタイプ)を可視化する実験や、触り心地をデータ化し、その感覚を専用デバイスでフィードバックする「触感定量化」の実験に参加することが可能だ。また、長田氏が研究する「感性AIエンジン」をファッション分野に応用したアプリ「COUTURE」の紹介も行う。
両者の展示ゾーンの中央には、来館者に「ぴったり」に関する2つの質問を行う特別コーナー(ゾーン3)を設けており、ここで集まった意見やアイデアは後の研究にも役立てられるという。
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