全日本空輸は、NECの「法人VRソリューション」による客室乗務員訓練を開始した。機内での火災や急減圧といった緊急事態、機内設備の安全確認作業をVRで再現し、訓練に活用する。
全日本空輸(ANA)は2019年3月20日、NECの「法人VR(仮想現実)ソリューション」による客室乗務員訓練を開始したと発表した。同ソリューションは、現実では再現することが困難な状況をVRで体感するもので、NECによると、CGを用いたVRを航空業界の訓練用に本格導入するのは「世界初」(同社)の事例となる。
ANAは2018年度に採用した約800人の客室乗務員を対象に、機内の安全性確保に向けた保安訓練に法人VRソリューションを導入した。機内での火災や急減圧といった緊急事態、機内設備の安全確認作業をVRで再現し、訓練に活用する。
これにより、緊急事態において迅速かつ適切に対処する客室乗務員を養成できる。VR訓練は反復実習が可能なことから、業務手順の定着が高まるなどの効果が既に現れ始めているという。
法人VRソリューションの導入は、客室訓練の課題解決に加え、仮想空間を新たな業務空間として活用する概念「Virtual Work Place」を念頭に置いたものだ。また、ANAでは、Googleの技術「WorldSense」を搭載したVRヘッドセット「Lenovo Mirage Solo」を、同年4月から採用する。同デバイスは、上下や前後左右の動き、例えば屈む動作などをVR空間に反映できるため、よりきめ細かな機内訓練が実施できる。
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