パナソニックは、「リテールテックJAPAN 2019」に併せて会見を開き、同社が注力する「現場プロセスイノベーション」が流通業界にどのように貢献するのかについて説明した。
パナソニックは2019年3月5日、「リテールテックJAPAN 2019」(2019年3月5〜8日、東京ビッグサイト)に併せて会見を開き、同社が注力する「現場プロセスイノベーション」が流通業界にどのように貢献するのかについて説明した。
同社 コネクティッドソリューションズ(CNS)社 常務 エンタープライズマーケティング本部長の山口有希子氏は「当社がこれまでに製造業で培った技術やノウハウを、サプライチェーンに向けて役立たせていただければと考えている。そのために、2019年1月にJDA Software(以下、JDA)との協業を発表するなどさまざまな施策を展開している。今回のリテールテックJAPAN 2019についても展示スペースは前回の3倍に広げており、流通業界に向けてのパナソニックの本気度を見てほしい」と語る。
今回のリテールテックJAPAN 2019の展示は、「見える化・データ活用ゾーン」と「自動化・作業支援ゾーン」という2つのゾーンに分かれている。見える化・データ活用ゾーンでは、JDAとの共同開発ソリューションとなる欠品検知システムや行動分析システム、2017年7月に買収したZetes Industriesの倉庫や配送の見える化ソリューション、自動化・作業支援ゾーンでは、温度センシングや空間採寸のソリューション、荷物荷仕分け支援システム、自動搬送システム、厨房自動化ソリューションなどから成る。小売り(リテール)の現場において、購買客への対応に役立つ技術や製品よりも、そのバックヤードに当たる配送や倉庫、物流などの業務に焦点が当てられているのだ。
パナソニック CNS社 現場プロセス本部 総括担当の一力知一氏は「製造業の競争力には、商品力という表の競争力と、それらの商品を生産して届けるために必要な裏の競争力がある。これはリテール業界でも同じで、購買客から見える表と、見えない裏にそれぞれ競争力がある。IoT(モノのインターネット)などによって現場の状態をより見える化しやすくなった今、当社が製造業で培った技術やノウハウを提供することで、リテールの裏の競争力を高められると考えている。今回の展示では、そのための現場プロセスイノベーションに焦点を当てた」と述べる。
小売店舗では人手不足が課題になっており、レジレスや無人店舗などに注目が集まっている。パナソニックも、「レジロボ」に代表されるような店舗の無人化が可能なソリューションを提案している。しかし、一力氏は「人手不足が叫ばれるリテール業界だが、現場を見える化して課題を洗い出していけば、本当の課題が人手不足ではないことが分かってくる。まずは裏の競争力を高めて、そこで得られたリソースを表の競争力に充てていくべきではないか」と指摘している。
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