高速動作や高密度配置が可能な、高加圧対応スポット溶接ロボット:FAニュース
安川電機は、スポット溶接用途ロボット「MOTOMAN-SP130」を発売した。可搬質量130kgで、新開発の2.5kWサーボモーターにより、高加圧スポット溶接への対応力が向上している。
安川電機は2019年1月31日、スポット溶接用途ロボット「MOTOMAN-SP」シリーズの新製品「MOTOMAN-SP130」を発売した。価格はオープン。本体サイズと動作速度が既存の「MOTOMAN-SP100」(可搬質量100kg)と同等でありながら、可搬質量が130kgで、高加圧対応の溶接ガン搭載に対応する。
従来の容量1.5および2.0kWのスポット溶接電動ガン用サーボモーターに加えて、2.5kWのサーボモーターを開発。この新モーターにより、アルミニウムやハイテン(高張力鋼板)などの高加圧スポット溶接への対応力が高まっている。さらに、MOTOMAN-SPシリーズに対応する電動ガン用サーボモーターは、バッテリーレス化しているため、生産性や保守性の向上に貢献する。
直線動作時の最高速度制限は、各最高速度動作指定(VMAX機能)によって撤廃した。ロボットの位置や姿勢に応じて、直線動作できる最高速度を自動で計算し、従来の速度を超える速さで動くため、ロボットの動作時間が短くなる。
また、新しい軌跡制御を採用して軌跡誤差を最小化した。これにより、テスト運転やプレイバック時も、動作速度の変化に関係なく、同じ軌跡で動作する。
配線スペースと時間の削減にも貢献する。ロボットとコントローラーをつなぐケーブルが1本になったため、設備周りがすっきりし、配線時間を大幅に短縮する。メンテナンス性も向上しており、異常発生時には、プログラミングペンダント上にアラームが表示されるなど、異常場所が分かりやすくなった。各部位にマルチポートを標準搭載し、通信線の断線時に異常場所を特定するための仮配線ができる。
さらに、中型、大型機種に対応する新型ロボットコントローラー「YRC1000」と組み合わせると、ロボットを最大限に活用できる。YRC1000は、電源回生機能を標準搭載しており、電圧変換回路により、380〜480Vの海外電圧に変圧器なしで対応する。
スポット溶接ロボット「MOTOMAN-SP130」 出典:安川電機
- 人手不足対策で完全自動化は逆効果、人とロボットの協力をどのように切り開くか
人手不足に苦しむ中で、工場でもあらためて自動化領域の拡大への挑戦が進んでいる。その中で導入が拡大しているのがロボットである。AIなどの先進技術と組み合わせ、ロボットを活用した“自律的な全自動化”への取り組みも進むが現実的には難易度が高く、“人とロボットの協調”をどう最適に実現するかへ主流はシフトする。
- いまさら聞けない産業用ロボット入門〔前編〕
日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか? 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。
- 製造現場での普及を2倍に、ロボット新戦略が目指すロボットと共に働く未来
日本政府が主催する「ロボット革命実現会議」は、ロボット活用の技術的および規制面でのロードマップを示した「ロボット新戦略」を発表した。本稿では、この新戦略の中で示されている「モノづくり」分野への取り組みにフォーカスし、その内容を紹介する。
- ロボット活用拡大のボトルネック、ロボットインテグレーターの現実
あらゆる現場で労働人口不足などが深刻化する中、その解決策としてロボット活用への期待が高まっている。しかし、現実的にはロボットを現場で実装するロボットシステムインテグレーターが不足しており、ロボット活用の裾野が広がらない状況になっている。経済産業省 関東経済産業局がまとめた「ロボットシステムインテグレーターに関する調査結果」の内容をまとめた。
- 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。
- 自律するスマート工場実現に向け、IoTプラットフォーム連携が加速へ
製造業のIoT活用はスマート工場実現に向けた取り組みが活発化している。多くの企業が「見える化」には取り組むが、その先に進むために必要なIoT基盤などではさまざまなサービスが乱立しており、迷うケースも多い。ただ、これらのプラットフォームは今後、連携が進む見込みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.