2つ目は、レーザー加工機による切断面の品質判定である。レーザー切断加工を行う場合、「レーザー出力」「ガス圧」「焦点位置」「ビーム倍率」「切断速度」といった加工条件を事前に設定しなければならない。試加工後に断面を熟練技術者が目視で判定し、適切であれば問題ないが、加工品質が不十分であれば加工条件を変更し、再加工していた。
今回開発したAI技術による画像判定は、加工画面像に基づき、傷や上面の荒れ、溶融付着の有無などを判定。この結果により、必要に応じて加工条件を変更する。熟練技術者に頼らなくても良否の判断ができるようになった。
ここでは、画像認識向け特徴抽出技術「高次局所自己相関(HLAC:Higher-order Local Autocorrelation)」を採用し、少ない学習データ数と計算時間で学習を可能とした。産総研のHLACは、医用画像の分野などで実績があり、この技術を加工プロセスの知識と組み合わせて適用した。
3つ目は、産業用ロボット組み立て作業における異常の判定である。ロボットによる組み立て作業では、力覚センサーなどを用いて、電子部品などを実装する際に力を加減する。この時、部品の欠損や異物の混入があれば、力覚センサーの出力が変化するため、異常動作と判定する。ただ、その判定処理にはあらかじめプログラムを作成する必要があった。
今回は、異常動作判定の方法を学習することで、異常処理プログラムの作成時間を従来の3分の1に削減できるという。ここでは時系列データ分析向け機械学習技術であるLSTM(Long short term memory)などを適用した。短時間のセンサーデータから異常を検出し、部品欠損や異物混入などその種類を判定することができる。
三菱電機によれば、「技術的なハードルはクリアしている。今後は使い勝手やインタフェースの課題を解決し、早期実用化を目指す」考えである。
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