リコーは2019年1月29日、インクジェット技術を用いてリチウムイオン二次電池を自由な形状で製造できる手法を開発したと発表した。リチウムイオン二次電池の主要部材である正極、負極、セパレーターの3層を狙った場所に重ねてデジタル印刷する技術は世界初(同社調べ)。
リコーは2019年1月29日、インクジェット技術を用いてリチウムイオン二次電池を自由な形状で製造できる手法を開発したと発表した。リチウムイオン二次電池の主要部材である正極、負極、セパレーターの3層を狙った場所に重ねてインクジェット印刷する技術は世界初(同社調べ)。デザインや性能の多様化が予想されるIoT(モノのインターネット)デバイスやウェアラブルデバイス向け電池の製造手法として活用を見込む。
リコーではプリンター事業で培ってきた知見を生かし、材料技術とセラミックス微粒化、分散技術に強みを持つ。同社はこの技術を転用し、インクジェットヘッドで吐出できる低粘度かつ高濃度な電極材料インクを開発した。この製造手法はリチウムイオン二次電池に用いられるほとんどの電極材料に活用できる。また、セパレーターをインクジェットで形成する技術も同時に実現した。
これら部材は設計データ通りにインクジェットヘッドから吐出できるため、さまざまな形状を持つ電池の製造が可能となる。将来的にはデバイス上に二次電池を直接印刷する実装技術の実現も目指す。
また、このデジタル印刷製造手法では製造プロセスの簡易化も長所となる。従来の製造手法では設計からパッケージングまでの間に冶具交換、プロセス段取り替え、スラリー塗工、電極加工、積層など複数の工程を必要とする。一方で、デジタル印刷製造手法は電極の設計データに従って部材インクを塗布、そしてパッケージングでプロセスが完了する。
これにより、従来の製造手法で多品種生産を実現するにあたり必要だった複数の製造ラインをデジタル印刷製造手法では不要とし、部材の無駄も削減できるという。
同社では2019年度から電池メーカーに向けてインクジェット製造手法を用いた電池部材の提供や、電池のデジタル製造を提案する方針だ。同手法は「nano tech 2019」(2019年1月30日〜2月1日、東京ビッグサイト)で展示、紹介される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.