リコー ICT研究所の技師長 佐藤敏明氏がインダストリー4.0やIoTについて、自社やシーメンスの例を挙げて分かりやすく説明した。現状の技術における、IoTやビッグデータ分析の限界についても述べた。
シーメンスPLMソフトウェアは2014年4月21日、「Parasolid Innovation Conference Japan 2017」を開催した。これまで欧米で開催してきたイベントだが日本での開催は初となる。同イベントの基調講演では、ドイツ発の企業でもあるシーメンスともかかわりが深い「インダストリー4.0」(ドイツの定義する第4次産業革命)をテーマに、「インダストリ4.0の時代にやるべきこと」と題して、リコー ICT研究所の技師長 佐藤敏明氏が登壇。今回は同社のCPS(Cyber Physical Systems)の取り組みを例に、これからのモノづくりとビジネスの在り方について語った。
リコーはソリッドモデリングエンジン「DESIGNBASE」の生みの親であり、佐藤氏もその研究開発にずっと携わってきた。DESIGNBASEは1990年代、主に国産の多くのCADでの2D/3Dの移行ツールとして採用されてきた。当時のPC98のような、メモリが640kbiteほどのマシンのスペックで、優れた自由曲面の表現を実現していた。しかし、2008年にその開発と販売は終了した(一部、保守のみ継続)。
現在の佐藤氏は、同社が2000年頃より取り組んできた3D CADによるバーチャルエンジニアリングや試作レスモノづくりをもっと発展させるべく、ビッグデータやAIなどを活用したより高度なビジネスプロセスの変革をミッションとする。
――日本の企業にいる人たちの多くが抱える不安を佐藤氏はこのように代弁する。かくいう、リコーもそうであったという。
とにかく情報が膨大であるインダストリー4.0の内容について、佐藤氏は要点を整理していく。まずインダストリー4.0とは「モノづくりを取り巻く前提や制約が変化しているから、それに合わせてモノづくりのやり方を他国に先駆けて変えていこう」とドイツが始めた活動であると同氏は説明する。
インダストリー4.0を背景とした、モノづくりにおける環境の変化の例として、佐藤氏は以下を挙げた。
インダストリー4.0のキーテクノロジーがIoTや、その源泉となるビッグデータ、AI(人工知能)技術などである。
そのインダストリー4.0の考えの中核をなすのが、「CPS(Cyber Physical Systems)」であり、Cyber(デジタル)とPhysical(現実・実物)をつなげる手段がIoTである、と佐藤氏は説明する。
「セキュリティの話や働き方を変えていくなど、(インダストリー4.0を巡っては)いろいろなテーマが出てくるが、いずれにしても、常に中心にあるのがCPSであると理解するとよいのでは」(佐藤氏)。
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