これらのようにAIによるデータ活用サイクルを包括的に扱えるようになったが、現状では強みとなっているのは、従来の技術商社の強みであるセンシング領域である。マクニカ 取締役 イノベーション戦略事業本部本部長の原一将氏は「現状でも150件以上の顧客のAIやIoTの導入をサポートしてきた。その中で多いのが、工場と、工作機械や産業機械メーカーへの納入だ。分野的には自動車関連や化学、素材関連が多い」と述べている。
150件の内、10件は実運用段階に入っているが、残りはまだ実証段階だという。「さまざまなフェーズがあるが、現状ではIoTによる見える化から入るところが多い。現在進行形で予兆保全や不良原因分析、外観検査自動化などに取り組みが進みつつある」と原氏は述べている。
ただ、スマートファクトリー化への要望などが高まる中で、今後はさまざまな形でのデータ活用が広がることから、包括的な「macnica.ai」の枠組みでAIやIoTへの導入支援を拡大する計画である。原氏は「現状ではセンシングへの期待から話をもらうことが多いが、今後はデータをどう扱うかという話が増えると考えている。ここに対応していく」と述べている。
その他、自動運転の試験用自動車「MACNICAR」などを含む自動運転開発を支援するソリューションなども用意。AI活用の1つのアプリケーションとして提案を強化していく方針である。
中島氏はAIへの取り組みについて「半導体とネットワークを柱に40年間、事業展開してきたが、新たな柱としてAIを育てていく。現在は売上高30億円ほどの事業規模だが、5年後には10倍の300億円規模の成長させる。半導体ビジネスに比べると付加価値も高く、利益率も高くなる」と考えを述べている。
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